ギョンス君は沼でした。 (ページ35)

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離れたくない離したくないページ35

手を繋いで家までの道を歩く

次第に自分のマンションが見えてきた

本当に別れる時がもうすぐ来てしまう

離れたくない

まだ一緒に居たい

なんて思えば思うほど足取りが重くなる

「そんなに帰りたくないですか？」

『え？』

「歩く速度がやたら遅くなりました。」

彼にはすべてお見通し

私が分かりやすいのかもしれないけど

ここは素直になった方がいいのかな

「このまま帰したくないなぁ。って今思ってます。」

『んふふ…』

「でも、今日は帰ります。」

『うん。』

「付き合った早々に…とかなんか嫌なので。」

『んはは。ギョンス君らしい。』

「これでも色々我慢してるんですからね！」

『ごめん。ごめん。』

「あそこで少し話しませんか？」

『うん。』

マンションの近くにある広場のベンチ

そこに並んで座る

「あー。」

『何？』

「なんか夢みたいだなって。」

『そうだね。』

「最初本当にジョンデさんが好きなんだと思ってました。」

『ほんとに？』

「だって仲いいじゃないですか。」

『まぁ、同期だからね。』

「毎朝のコーヒーだって…」

『やきもち？』

「チャニョルが言ってたAさんへのアピールって言うのも

あながち間違ってないと思うんです。」

『そんなことないよ。』

「まぁ…Aさんは僕のなんで。」

『うん。』

肩を引き寄せられ顔が近づく

どちらともなく唇を寄せる

さっきとは違い甘く深いキスだった

ずっとキスしていたかった

彼の口から別れの言葉が出るのが嫌だから

「じゃぁ…帰りますね。」

『うん…』

離れたくない

もっと傍に居たい

気持ちを伝えた今

自分の欲求を抑えるのがつらかった

「そんな顔しないでください。帰れなくなるじゃないですか。」

『だって…』

「だって…何？」

『離れたくないから…もっと一緒に居たいんだもん…』

「はぁ…」

大きく吐かれたため息

面倒な女だと思われたかな…

『ごめん。帰ろう。』

私はベンチから立ち上がったけど座ったままのギョンス君

『ごめん。変な事言って。さ、遅いから…』

私が言い終わる前に腰を引き寄せ

立ったままの私をギョンス君が抱きしめる

「Aさんが悪いんです。全部Aさんが悪いんです。」

『え…』

彼はおもむろに立ち上がり私の腕を引いて大通りまで出ると

タクシーを止めた

「僕の決心を揺るがせたAさんがいけないんです。」

そう言って私たちはタクシーに乗り込んだ