ギョンス君は沼でした。 (ページ17)

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脚立の上ページ17

机にたまった仕事をやり終え書庫へ戻る

扉を開けるととても静かで奥のテーブルを覗いても誰も居なかった

ギョンス君さぼり？

一番奥の棚の所に背の高い脚立

見上げるとそこに彼は座っていた

『こんなところにいたいの？』

「はい。なんかあそこに一人でいると…わーってなりそうなんで、ちょっと雰囲気を変えてみました。」

『ほんと精神的にくるでしょ。』

「それに…よいしょ。」

脚立から降りた彼は私の目の前

「Aさん来るの遅いから。」

『だって色々仕事残ってて…』

「本当に僕を置いて帰っちゃったのかと思いました。」

『そんな事しないってば。』

プレゼンには何度もかかわってきたので要領は良くなっているもの

毎回コンセプトが違うから探す資料も違うし…

さっきギョンス君が上っていた脚立のてっぺんに私も座る

なんかちょっと特別な感じがする

その上で資料を眺めていると足元にギョンス君

「Aさんそこのカタログ取ってもらってもいいですか？」

『ん？どれ？』

「左から…いち…にぃ…あ、ちょっとそこ動かないでください。」

『え？えっ…』

カシャンカシャンと音を立て私の座ってる脚立を登ってくる彼

『ちょ！重量オーバーで壊れちゃうよ！』

「大丈夫です。さっき見たら150kgまでいけたんで。」

『そ、そういう事じゃなくて…』

「もうじっとしててください。」

私の横から伸びた手はカタログを掴む

そのまま降りるのかと思っていたら彼はそこでカタログを広げだした

え…っと

「あぁ…やっぱりこれだと大きいか…」

『あの…ギョンス…君？』

「はい。」

『降りないんですか？』

「Aさんこの飾り棚どう思います？」

私より何段か下に居る彼はカタログを片手に私を見上げる

うわ…上目遣い…可愛い…

あ、ダメだダメだ…

『確かに良いけど…そのサイズだと壁一面埋まっちゃうよね。』

「ですよねぇ…」

じゃなくて。

近いんだよ。ちーかーいーの！

むしろ私の膝にカタログ乗せちゃってるし

『私テーブルじゃないんですけど。』

「あ、すみませんすみません。」

また手が伸びてしまわれるカタログ

え？それだけ？それだけの為に取ったの？

「Aさんは何調べてるんですか？」

『今はカーテンを…』

「はい。」

『へ？』

「そんな危ないところで調べてないで、向こうでやりましょう。」

私の手にあるカタログを奪い私の返事も待たずに彼はスタスタとテーブルに戻って行った