年下男の育て方2 (ページ42)

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触れたいと思うけどページ42

【CHANYEOL SIDE】

別にふて腐れてるわけじゃない

別に怒ってるわけでもない

Aちゃんが離れて行ってしまうんじゃないかって思ったら

すごく寂しくて

まだ決まったわけじゃないのに

勝手にへこんだ

行かないでよ

俺の傍にずっといてよ

どこに居ても心は繋がってるよ

でも

触れられないなんて嫌だ

Aちゃんが日本に帰ってしまえば

お互い忙しくて会う事なんて年に数回

下手すれば1年会えないとか

俺そんなの耐えられる？

でも、そんなわがままは通用しないってわかってる

行くな。なんてそう簡単に言えないのだってわかってる

引き留めたいけど…

俺の頭の中はグルグルと黒い渦

車に乗って夕日を眺めながらも黒いもやは晴れなかった

『ねぇ。』

「んー？」

『スーパー寄って行くけど車にいる？』

「いくー。」

『ん。』

「ねぇ今日はどこに泊まるの？」

『今日はねぇここから10分位の所に叔父の別荘があるの。』

「え？Aちゃんってお嬢様？」

『違うよ。叔父の趣味だよ。』

「へぇ。」

『だから今日はご飯作ろうかなぁって。

どっか食べに行きたい？』

「久しぶりにAちゃんのご飯食べたい。」

『じゃぁスーパーで食材買おう。』

大型スーパーに到着して俺はカートを押す

これ押すの好きなんだよね

小さいころを思い出すんだ

Aちゃんは今キャベツに夢中

両手にキャベツを持って唸ってる

「どうしたの？」

『キャベツが高い。』

「んはは。」

『何で笑うの？』

「んー？うちのオンマも良くそうやって眉間に皺寄せて野菜が高いって言ってたから。」

『ほんと高いんだもん。』

「Aちゃんは良い奥さんになるね。」

『そう？あとは良い旦那さんだけだね。』

「俺じゃないの？俺でしょ俺。」

『んふふ。』

そうだね。って言ってくれないの？

照れかくし？

それとも…

あーなんでこんなネガティブなんだ

俺はハッピーウィルスなのに…

『チャニョル？』

「ん？」

『なんか難しい顔してるけど？』

「あ、ごめん。」

『今日は旅行最後の日だから美味しいもの作らないとね。』

「うん。」

俺はそのままAちゃんの後ろをついていくだけ

くっついて

怒られて

またくっついて

また怒られて

そうしたかったけど

俺の中の黒いもやがそうさせてくれなかった

楽しい旅行のはずなのに

邪魔する人もいないのに

どうして

こんなに遠く感じるんだろう

手を伸ばしても届かない

俺の手は空気を撫でるだけ