年下男の育て方 (ページ11)

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凍死しそうなほど寒い夜《The Past Day》ページ11

だんだんと遠くなる彼の背中

今すぐ飛びつきたいのに

足が動かない

ポケットに入れてある携帯が鳴る

着信：チャニョル君

え？

遠くに見える彼は携帯を耳に当てていた

「もしもし？」

『…はい』

「ちゃんと中入った？」

『…うん。』

「うそつき。」

『え…』

俯いてた顔を上げるとこちらを振り返ってる彼が遠くに見える

「早く中入らないと風邪引くよ。」

『うん。』

「こんな離れてるから暖めてあげられないよ。」

離れた場所で手を振る彼

『チャニョル君。』

「ん？」

『寒い。』

「そりゃねぇ。11月も半ばだし。」

『寒いよチャニョル君。』

「だから中入りなって。」

もういい。どうなっても

伝えないと始まらない

歳の差とかどうでもいい

私は彼が好きだから

『暖めにきて。』

後ろ向きに歩いていた彼がピタッと止まる

「今？」

『今。』

「今すぐ？」

『今すぐ。』

「仕方ないな。」

電話はつながったまま

見えるけど

だんだん距離が近づいてきてるけど

切りたくない

「まったくわがままなんだから。」

『そうかもね。』

「俺が暖めてあげないと凍死しちゃうね。」

『うん。』

目の前に携帯を持ったままの彼が立っている

手を伸ばしたらすぐに触れられる位置に

「こんな近くに居るのに電話してるってなんか変な感じだね。」

『うん。』

「暖めにきたよ。A。」

電話を切って私の腕を引き寄せる

「あったかい？」

『うん。』

「俺もあったかい。」

『ねぇ…あたし…年上だよ。』

「知ってるよ。」

『いいの？』

「関係ないでしょ。」

『でも…』

「俺はAがいいの。それだけじゃダメ？」

『うん。ダメ。』

「もう。欲張りだな。何が欲しい？」

『チャニョル君の全てが欲しい。』

「あげるよ。全部。」

体が離れる

さっきまであんなに寒かったのに今は暑いくらいだ

「A。」

『はい。』

「顔あげてよ。」

『いや。』

「耳まで赤いから。真っ赤なのばれてるよ。」

『うるさい。』

頬に手を添えられて顔を上げさせられる

優しく微笑む彼の顔がすぐそこにある

「俺の事…好き？」

『多分。』

「もー。」

『好きだよチャニョル君。』

おでことおでこがくっつく

「やばい…幸せ。」

『うん。』

「俺も…好きだよ。」

その言葉と同時に唇が重なった

胸の奥がぎゅってなるような

そんなキスだった