06.チーズケーキとコーヒー。 ページ7
.
「、、、え？」
予想外すぎる反応に思わず彼に聞き返す。
「チーズケーキとコーヒー。
1回ハマったら抜け出せなくなっちゃいましたよ。」
冗談ぽく笑ってそう言う。
．
「自信もってください。
自分と自分の積み重ねて来たことに。」
彼の言葉は不思議だ。
今の今までどうしようもないくらい複雑に絡まってた心の糸をいとも簡単に解いてしまった。
．
「カンター。」
遠くから彼を呼ぶ男の人の声が聞こえた。
「あ、お迎え来ちゃったみたい。
帰りましょっか。」
そう言って立ち上がるカンタさん。
．
「あ、あの。...わ、私、、、。」
あ、私。帰る家ないんだ。一気に現実に引き戻される。
「こんな夜中にさすがに女の子1人では残して帰れないんで。
送っていきます。」
カンタさんはそう心配してくれるけど、送ってもらう家がない。
.........なんて絶対言えない。
．
「いや、ほんとに大丈夫です。
カフェそこだし。」
私が困った顔で言うと何かを察した彼。
「でも、ほんとに危ないんでせめてカフェまでは送らせてください。
明日からチーズケーキ食べれなくなるのは嫌だし、
あそこが、唯一俺を佐藤寛太に戻してくれる場所だから......
って意味わかんないですよね。行きましょ」
.
そう言って歩き出す彼の背中を見て思ったことは。
彼はたぶんすごく頭がいいってこと、と
彼には謎が多すぎるってこと。
彼はなんにも聞かないし、私はなんにも言わなかったけれど、
彼は確かに、私が前に進むための道しるべをくれた。
．
「それじゃあ。また明日。」
．
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作者名：michi | 作成日時：2019年1月8日 2時
