10.月の魔力 ページ11
．
話し終えてふと涙が止まっていることに気づく。
｢、、、、よかった。
それなら、よかった。｣
．
ほっと息をつくカンタさん。
｢え、？｣
｢あの日、
公園のベンチで俺に話してくれたあの日。
カフェにいる貴方と何か違う。このままどこかへ消えてしまいそう。と何故か思ったんです。
なのに、何も出来なかった、、。
それから、仕事が忙しくてなかなか来れなくて、、
今日来てみたらお店が閉まってて、ほんとに消えちゃったんじゃないかって、、
なんかどこかずっと不安で。｣
．
｢っふふ、カンタさんって意外とロマンチックで小心者なんですね。
なんかイメージと全然違う。もっと現実的で真面目な人だと思ってました。｣
さっきまで泣いていた私が笑いだし、驚いてこちらを見るカンタさん。
｢どんなイメージ持ってたんですか。
俺にだって心はあります。｣
そう言って、｢どこがそんなに堅いんだろ｣と真剣に腕を組んで悩むカンタさん。
．
優しく笑って、焦って、驚いて真剣な顔になってコロコロ変わるカンタさんの表情に思わずクスッと笑ってしまう私。
あれ、なんで、、？
さっきまであんなにフラフラで、
落ち込んで、
ご飯も喉を通らなかったのに。
．
いま、、私、笑ってる。
あの光景を見てから全て色を失ったはずなのに。
．
気づけば、自然に笑ってた、、
11.「なんで私に優しくするの」→←09.cry and cry
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作者名：michi | 作成日時：2019年1月8日 2時
