43 ページ50
興奮がおさまらないのは選手たちも同じだった。ロッカーに戻ってきた村上を大きな歓声と拍手で迎え入れる選手たち。その次に入った大谷も、上機嫌に両手をあげて入っていく。そして最後に入った如月にも、誰もが嫌な顔をせず温かい目で受け入れた。
大勢「如月さんナイスでしたー！」
「大勢うるさい」
大勢「そんな悲しいこと言わないでくださいよ〜」
湯浅「あんまAさんに近付くな」
大勢「なんで？」
「……大勢もよく抑えたよ」
湯浅「…Aさん、俺は？」
フイと踵を返してその返答には答えない。言わなくてもわかるだろ、そう言いたげな如月の横顔に、湯浅は自然と笑みが浮かんだ。
「村上」
試合直後は声をかけることができなかった村上の元に向かう。まるで子供のような無邪気な笑顔で振り返った村上に目を丸くしつつ、如月は口を開いた。
「お疲れ」
村上「如月さん！俺打てたっすよ！！よーやく！」
「遅いわアホ」
村上「あ痛」
「……でも良かった」
村上「俺も良かったです。如月さんのおかげですよ」
「何もしてないから俺は」
村上「してますよ。如月さんが俺の気持ちをほぐしてくれた。それは紛れもない事実ですから」
「……あっそ」
照れくさそうに村上の元を去っていく。相変わらず素直ではない如月だが、確実に最初の頃より態度は違う。それは村上を含めた他の選手もそうだった。
牧「如月さん流石でした！！まじ心強いっす」
「ありがと」
山田「なんであんな場面で緊張しないん？まじ神経イカれてるやろ」
「褒めてますかぁ？それ」
山田「褒めとる褒めとる」
宮城「如月さん、今度スライダー教えてください」
「ダルビッシュさんに教わったんじゃないの？」
佐々木「俺にも教えてください」
「君らさぁ……」
甲斐「A君が俺の代打なんて逆に畏れ多いわ。ありがとね」
「いえ…犠牲フライだったのが悔しいですが」
サンドバル(＿＿ホントに悔しいな)
準決勝にて、日本に敗北してしまったメキシコ所属のサンドバルは一人項垂れていた。メキシコも強いが日本も強かった。それが事実であるが悔しさに変わりはない。
サンドバル(にしてもキサラギというあの男……相当の手練だったな。まるでショーヘイを彷彿とさせるあの姿……)
サンドバル「"面白いじゃないか"」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 640人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キョンシー(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (12月19日 8時) (
レス) @page3 id: 84d2022181 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
