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そして始まったメキシコ戦。先発の佐々木は三者凡退で抑えた。だが日本も警戒をしていたサンドバルによって三者三振に抑えられてしまった。如月たちが分析していた通り、手も足も出ない投球だ。


予想通りの展開だ。如月はそう割り切って目を伏せた。2回、吉田がセンター前ヒットで出塁するが、続く村上は空振り三振、岡本もショートゴロでダブルプレーとなり先制にはならなかった。3回まで互いに無得点の状態。状況が変わったのは4回に入った時だった。



この歓声はメキシコを応援する観客たちのものだ。呆然とした顔の佐々木、一気に暗くなるベンチ。如月もガムを咀嚼しながら静かにその状況を眺めていた。


6番バッターへの2球目が甘く入り、レフトスタンドに運ばれ3ランを許してしまった佐々木。そんな佐々木の元に源田が声を掛けに行く。佐々木は小さく頷いているものの、2アウトからの3失点にショックが大きい様子だった。


なんとか次の打者を打ち取り、佐々木がベンチへと戻ってくる。誰もが佐々木を暖かく迎え入れたがただ1人、如月はその場に座っているだけだった。


朗希、と心配そうな宮城の声が側で聞こえる。佐々木は何も反応せず、裏へと姿を消してしまった。



「……」

大谷「…そんな怖い顔で見ないであげな」

「こういう顔なんです」

大谷「……勝てるね」

「勝てますよ。アンタが弱気になってどーするんですかぁ」

大谷「…!そうだね」



短い会話を終わらせる。空気の重いベンチの中を如月は鼻歌まじりに歩いていた。グローブを手に取ると、離れたところで静観する。如月の不気味さに大谷や中野、湯浅すら畏怖を覚えていた。


完全にメキシコの空気に呑まれる球場内。白熱した盛り上がりに圧倒される中、如月はいつも通り飄々とした様子でマウンドに立っていた。

とても心強く頼り甲斐があるのは何故だか分からない。だが日本を応援する誰もが、如月に対して同じ思いをぶつけていた。



いつの間にか表に来ていた佐々木は手を交差させて目を瞑る。失点するなら自分だけで十分だ。如月なら抑えてくれる。そんな思いを込めて、脈打つ心臓と共に試合を見守った。

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キョンシー(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (12月19日 8時) (レス) @page3 id: 84d2022181 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年12月18日 18時

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