その男、問題児なり (ページ24)

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ヌートバーのファインプレーもあり無失点で終えた日本。５回裏は2点をとるが、６回表でソロホームランを打たれ1点を加算される。この時点で如月の脇腹の痛みは引いていた。

「俺、次行っていいですか」

栗山「……体は」

「本当に大丈夫です。打たせてください」

チラリと大谷の姿を見る。

「負けてられないんで」

大谷「脇腹は？痛い？」

「大谷さんが触ってるんで痛いですね」

大谷「…ごめん」

意外にも大谷は素直に手を引いた。触れるような手付きで痛むわけがないのだが＿＿如月の言葉を信じ心配そうに顔を覗く。

大谷「本当に大丈夫？」

「何度言わせるんですか。大丈夫です」

大谷「…そう」

プロテクターを付ける如月の頭をわしゃわしゃと撫でる。抵抗せずに撫でられたままの如月を引き寄せると、そのまま抱きしめた。少し土が混じったそのユニフォームで視界が埋まる。

大谷「みんなに一泡吹かせてこい」

「……言われなくてもそのつもりです」

そう言い残すと如月はバットを手に立ち上がった。デットボールを受けたヌートバーが怒りの表情で一塁へと向かっていく。近藤の後を繋げるようにしなければ。本調子ではないが怪我を気にしないプレーでもしてやろう。そう意気込んでスイングの確認をした。

近藤はフォアボールを選択し、押し出しとなり日本に1点が追加された。２回裏以降の如月の打席、そして復活に観客は最高潮となる。

「いけぇ如月ぃぃ！！！！
「二刀流の意地を見してみろ！！」
「頑張れ如月選手〜！！！」

観客たちの熱気を浴びつつ、1人如月は冷静に前を見据えていた。今度は同じヘマはしない。させない。スゥッと三白眼が細められる。

(甘いボールやな)

如月の圧か、はたまた本当に緩んだのか定かではない。初球を捉えた如月はバットを振る。ライト前へのタイムリーヒットを打ち、その後も村上の犠牲フライ、吉田と岡本のタイムリーヒットが出て、この回は5点を追加した。