16 ページ18
5回まで順調に打者を抑えていた戸郷だったが、6回にてソロホームランを打たれた。この時点で日本は3点を稼いでいたが、今回のホームランによって点差は2点差になった。その後もチャンスを作るが点数は稼げず。
7回も戸郷が続投する事になり如月はそれを見守った。欠伸をしながら見守る如月に、投手コーチである吉井が声をかける。
吉井「如月、そろそろ肩を作っといてほしい」
「……次俺ですか？」
吉井「あぁ。頼むぞ」
「はぁーい」
大きく伸びをして立ち上がる。グローブを持ってブルペンに移動する如月を、誰もが気付かれないように見ていた。
大勢「如月さんだ」
湯浅「Aさんなら絶対抑える」
大勢「……如月さんに対しての信頼感エグいなぁ」
湯浅「当たり前やろ。あの人はホントに凄い選手だから」
大勢「…それはずっと前から知ってるけど」
7回表、戸郷はまたもやピンチを背負ったがなんとかそれを切り抜けた。更に裏では牧によるホームランで日本に1点が追加される。8回に登板する事が決まった如月は、ロジンを一握りしてバッテリーを組む甲斐を見つめた。
(…さて、やるかぁ)
甲斐が要求したボールは低めのフォーク。如月が得意な球種の一つでもある。小さく頷いた如月は、持ち味の150キロ台の速球で投げた。
大谷「……やるなぁ」
ダルビッシュ「……安定しとるな。見てて清々しい」
大谷「まじでウチのチームに欲しいです。メジャーで全然通用します」
ダルビッシュ「うん、通用するね。A君なら全然戦える。パドレス来て欲しいな」
大谷「あ、ダメですよ。Aはエンゼルスに勧誘するんで」
ダルビッシュ「まぁメジャーに挑戦するなんてA君は一言も言ってないけどね」
まさかそんな会話が広げられてるとは知らず、当の本人は淡々と三者連続の空振り三振を奪い、この回を無失点に抑えた。8回裏へと突入し如月はベンチへと戻る。隅の方に座って足を組めば、側にいた村上が声をかけた。
村上「流石っすね如月さん」
「どーも。君も頑張りなよ。いつまで空振りばっかしてるのさぁ」
村上「っ、すみません」
「ま、全員君の事信じてるから」
村上「…それは如月さんもですか？」
「………そうやな。信じてるよ」
打席に立つ大谷の姿を見ながら頷く。如月は完全に無意識で答えていたが、それが村上の気持ちを引き出していた。残念ながら次も空振り三振をする村上だが、どこか思い詰めた表情が柔らかくなっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 640人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キョンシー(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (12月19日 8時) (
レス) @page3 id: 84d2022181 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
