その男、問題児なり2 (ページ4)

今日:82 hit、昨日:1,564 hit、合計:58,215 hit

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5回に突入した今、高橋はこの上ない緊張感を味わいながらマウンドに立っていた。USAコールが響く物々しい雰囲気。先頭のベッツを速球で打ち取るも、打球が高く跳ねて内野安打に。次に待ち構えるのはトラウト、ゴールドシュミットとMLBの大スターたちだ。

高橋(まずはやり切ろう。うだうだしても意味ない)

ふと脳裏に如月の姿が浮かぶ。他人には一切興味なし。最初はそんな人だと思ってた。そう勘違いしていた。

"お前なら戦えるよ。宏斗"

"お前がどれだけ失点しようがなかろうが、俺が次で絶対に無失点で抑えるから"

高橋(優勝するためにも、この後の如月さんの為にも＿＿)

深呼吸をして目の前のトラウトを見る。MLBのMVPという壁はこんなにも大きいが、今ならそれを乗り越えられる気がしていた。

高橋(俺がこの場を支配する)

「……やるじゃん」

ポツリと呟かれた如月の言葉。あの重圧に負けず球を投げきった。それだけでも貴重な経験である。ストライクとボールがハッキリとしていたが強い球を投げられていた。腕の振りも良く、フォークのキレも良い。

(心配して損したな)

そんな事を思いつつ、日本の攻撃を見守った。そして＿＿。

4番手を任された如月はマウンドを踏み締めていた。自分が今大会ここに立つのもこれで最後だ。ならば最高の終わりを迎えるのがベストだろう。

6番打者のターナーは如月の出す圧に冷や汗をかきながらバットを強く握った。大谷と同じ二刀流として評価の高い如月と対戦できる事が、彼自身も嬉しかったのだ。それは如月も同様だった。MVPが勢揃いの打線。これを抑えた時の嬉しさは計り知れないだろう。

(＿＿気張っていくか)

簡単に三振が取れる相手ではない事は如月も理解している。それでも攻めたくなるのが如月という男なのだ。