67 ページ24
奥のベンチで足を組む如月の姿を発見し、村上は息が詰まるのを感じた。本人はその気はないだろうが、やはり如月の出す重圧は凄まじい。汗なのかはたまた別のものかは定かではないが、村上は覚悟を決めて如月の元へ向かった。
佐々木の投球を静観していた如月は、村上に気付き目を向けた。そこに座れと言いたげな目線。村上は慌てて如月の横に座った。
村上頌「……Aさん、その、」
「いきなり4失点か」
村上頌「す、すみません」
「……オールスターで良かったねぇ」
村上頌「え」
「でも甘いボールばっかやったな。緊張してるの?」
村上頌「Aさんに見られてるって思うと……」
「なんだそれ」
村上頌「まじ絶対Aさん怒ってると思ってました」
「怒んねぇよ、そんな事で」
もう終わりだし。そう付け加えて立ち上がる。その発言に疑問を抱いた村上は思わず如月のユニフォームを掴んでいた。
村上頌「待ってください!終わりってどういう意味ですか?」
「ん?あー……俺がオールスターに参加するのも今年で最後って事だよ。もう選ばれる事はない」
村上頌「なんでですか!俺は来年絶対Aさんに入れますよ!」
「……はは」
パリーグに4点を取られ反撃をしたいところだがそう簡単には点を取らせてはくれないようだった。佐々木からは点をもぎ取る事は出来ず2回。互いに点は入らず3回に入る。セリーグの投手が村上から小笠原に変わったところで、如月はブルペンへと向かった。
栗原「そろそろA登板するんじゃね?」
頓宮「えー俺打ちたくないんだけど」
存在感だけは強烈な如月を気にするパリーグの面子たち。ずっと如月の登板はいつかいつかと待ち構えている。ひっそりと息を顰めて試合を静観していた姿は不気味だったが、今度は如月が消えた事でパリーグのベンチは騒ついた。
もしかしたらこの次に如月が登板するかもしれない。そんな恐怖を野手は抱く。それほどまでに如月の「投手」としての能力は凄まじいのだ。
841人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
陽 - この作品は最初の方から追わせていただいていた大好きな作品です!続編とても嬉しいです!ありがとうございます!これからも応援しています!更新頑張って下さい!! (3月26日 18時) (レス) id: ea57203bd0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ