その男、問題児なり2 (ページ21)

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山本「如月さん、やっほー」

山﨑「めっちゃ馴れ馴れしい…」

「……なんか用？」

山本「そりゃ如月さんに会いに来たんですよ」

「はぁ」

山﨑「それよりも如月さんに会いたいってやつが2人ほどいて。紅林と山下って言うんですけど」

山下「い、言わなくて大丈夫です…！」

隠れきれないその巨体は見た目によらず小さく感じる。まるで子犬のような存在感の山下は、如月と目が合うなり慌てて逸らした。紅林は何を考えているか分からない表情で如月を見つめる。

宇宙人みたいだと紅林を評価しながらも、せめて挨拶だけでもと思い山本と山﨑の間を通り過ぎた。

「阪神の如月。よろしく」

紅林「…！よろしくお願いします」

山下「よろしくお願いします…！」

2人の活躍はよく知っている。オリックスはこれからさき脅威になりそうだ。そう分析しながら振り返らず真っ直ぐ進んでいく。

たとえそうでも構わない。今年こそは自分(阪神)が日本一になるつもりだ。

(まぁそもそもCS勝たんと話にならんけど)

山下「……緊張しました」

杉本「そーか？」

紅林「しますよ。むしろなんでそんな堂々としてられるんですか」

福也「だいぶマシになった方だよ。昔はもっと刺々しかった」

山本「へぇ〜、おっかない」

近本や湯浅は怪我で出場を辞退した今年のオールスター。阪神からは他にも選出されているが、如月は少し寂しく感じていた。そんな如月が落ち着いたのは中野の元だった。

中野「どうしたの」

「暇」

中野「そんなこと言われても…。折角のオールスターなんだし、もっと他の人と関わってきなよ」

「もう関わってきた」

中野「ホントに？」

「ギータさんとオリックスの連中」

中野「パリーグだけじゃん」

「初めてだからどーすればええか分かんないんだよ」

中野「別に普通にしてればいいんだよ。そーだなぁ、Aの言葉を借りるなら＿＿堂々と胸張って挑めばいい、かな？」

「何それ。そんな事言ってない」

中野「でも似たようなこと言ってたんでしょ？WBCの時にさ」

そうだっけ。そう吐露して首を傾げる。WBCは試合や優勝の余韻しか残っておらず、自分が言った言葉なんてとうに忘れていた。