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伊藤「疲れてますね、如月さん」
「……だいぶね」
ようやく1人になれた如月は隅で固まって静観していた。そんな如月の元に伊藤が足を運び見下ろす。飲みますか?そう言って差し出した瓶を、如月は答える事なく首を横に振って拒否した。
伊藤「かっこよかったですよ如月さん」
「……そう」
伊藤「本当に疲れてるじゃないですか」
「もう眠い。正直横になりたい」
伊藤「なら膝貸しますけど」
「今ので目が覚めた」
伊藤「それは良かったです」
2人の空間はとても静かだ。見ているだけでも暑苦しい周りの姿、如月からしてみれば伊藤は落ち着く存在だった。これからまた慌ただしいだろう。億劫になりそうだ。
伊藤「如月さんでも疲れることあるんですね」
「あるに決まってんだろ」
伊藤「なんか安心しました。如月さんもちゃんと人なんですね」
「お前は俺のこと化け物かなんかだと思ってんの?」
伊藤「少なくとも異次元的存在だとは思ってますかね」
「…あっそ」
ふいと目を逸らした先に高橋がいた。アメリカの法律上21歳から飲酒可能なため、高橋はシャンパンファイトに直接関わることが出来なかった。その場から少し離れたところで水を飲んでいる。その姿が少し寂しく感じた如月は、重たい腰を上げ高橋の方へ向かった。
「宏斗」
高橋「如月さん!!来てくれたんですか」
「……残念だったね、日本だったら問題なかったのに」
高橋「仕方がないです…。でも参加する気満々だったので、やっぱり悲しいですけどね」
「日本に帰ったら飲みにでも行くか?」
高橋「えっ、良いんですか?絶対行きます」
「時間が合えばな。……緊張したでしょ、よく最後までやり遂げたねぇ」
高橋「はい、皆さんのおかげです。でも一番は如月さんですよ!俺、如月さんの事好きになりました!」
「……ふーん」
高橋「あ、照れてます?」
「馬鹿言え、そんなわけない」
もし法律が関係なければシャンパンを浴びせてただろう。後でたっぷり水でもかけてやる。そんな事を考えつつ、如月は先ほどまで踊っていた吉田の元へ向きを変えた。
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陽 - この作品は最初の方から追わせていただいていた大好きな作品です!続編とても嬉しいです!ありがとうございます!これからも応援しています!更新頑張って下さい!! (3月26日 18時) (レス) id: ea57203bd0 (このIDを非表示/違反報告)
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