その男、問題児なり2 (ページ13)

今日:59 hit、昨日:1,564 hit、合計:58,192 hit

56 ページ13

如月と近藤が会話をしていれば、そこにダルビッシュがやってきた。随分とびしょ濡れだ。シャンパンの香りがする。お疲れ様でした、そう声を掛ければ、微笑みながらそれに応えた。

ダルビッシュ「今大会を通じて、改めてA君の凄さがわかったよ。本当味方で良かった」

近藤「俺は今度敵だけど。A君、手加減してね」

「無理です」

近藤「えー」

ダルビッシュ「……A君、メジャーに興味出た？」

近藤「あ、俺も気になる」

「……どうでしょうか」

これ以上追及することなく、ダルビッシュは小さく頷いた。あの闘志を感じる瞳、如月は間違いなくメジャーに興味を持っているだろう。

ダルビッシュ「まぁもしメジャーに挑戦する気があったら歓迎するよ。パドレスにおいで」

「……考えておきます」

近藤「まぁA君なら大丈夫っしょ」

「どーでしょーかねぇ」

ダルビッシュ「てか今からシャワー浴びるけど来る？」

近藤「じゃあ俺も」

「俺はいいです。もうちょっとだけここにいます」

ダルビッシュ「わかった。じゃあまた後で」

この後呼び戻されるとも知らずに、2人はシャンパンだらけの体を洗い流しにシャワー室へと向かった。

「メジャー、ねぇ」

邪魔にならない場所で静かに考える。さらなる高みを目指すならいいのかもしれない。でもその間に成し遂げないといけないことがあるのだ。

ヌートバー「"やぁA、そんなところにいないでもっと盛り上がろう！"」

「"ねぇ。俺ってメジャーで通用する？"」

ヌートバー「"どうして？全然通用するよ"」

「"そっか"」

ヌートバー「"もしかして挑戦するのかい？！"」

「"それも1つの選択肢だけど…"」

ヌートバー「"そんな事よりまずは飲もう！"」

「"いや、ちょ"」

ヌートバーに無理やり飲まされる形で瓶を口元に押し付けられる。吐き出すわけにいかずゴクリと飲めば、ヌートバーは豪快にシャンパンを飲み始めた。若干引きつつその場を離れる。Aくーん、というのんびりとした口調が下から聞こえ、如月は足を止めた。

「……そんなところで何してるんですか、源田さんに牧原さん」

如月の目線の先には正座をしてる源田と牧原がいた。牧原は自らの頭にシャンパンをかけ、まるで滝行をしているようだ。その隣でほんのりと頬が赤い源田がシャンパンを嗜んでいた。