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岡本「あ」
「岡本さん」
顔を洗おうとケースに手を伸ばせば、岡本も同じことをしていた。シャンパンが目に入って痛いのか、何度か瞬きをしている。
「ナイスホームラン」
岡本「ナイスピッチング」
淡白な会話。だがこの短い期間で2人の仲は深まったようだ。如月も嫌な顔をせず、岡本の隣で顔を洗う。興奮を醒ますにはこの冷たい水がちょうど良い。満足のいくまで顔を洗えば、岡本はまだ顔を洗っていた。
洗いすぎではないか、そんな事を思いながら岡本を見つめる。如月の視線に気付いたのか、岡本は如月を見上げた。
岡本「……どしたん」
「そんな顔洗わなくても」
岡本「めっちゃ目が染みて」
「まだ痛いの?」
岡本「ちょっとだけ」
「見してみ」
岡本「え」
未だに目を擦る岡本の手を払い顔を覗く。少しだけ充血しているようだ。岡本の目元をなぞりながら、あんま擦らない方がいいよと助言してその場を離れる。一方岡本は、今起こったことが理解できず、暫く呆然とその場に佇んでいた。
戸郷「如月さーん!」
高橋奎「如月さん!一緒に飲みませんか?」
「……もういいや」
高橋奎「酔っちゃいました?」
「んー……せやなぁ。久しぶりに飲んだのもあるし、元々そこまで強くないし。俺はもういい」
戸郷「そうですか…。如月さんにはとてもお世話になったので、お礼言いたくて」
高橋奎「如月さんのプレーで俺たちがどれだけ励まされたか」
「そんな大したことしてないけどねぇ」
戸郷「してますよ!それに俺は如月さんに何度か助けられましたし」
高橋奎「如月さんとプレー出来て本当良かったです」
「………」
戸郷「如月さん…?」
「俺もだよ。お前らと出来て良かった」
高橋奎「き、如月さんからそんな言葉聞けるなんて嘘みたい」
戸郷「……本当に良かったぁ」
近藤「お疲れA君」
「お疲れ様です、近藤さん」
近藤「翔平に気に入られちゃったね〜」
「…どうにかしてくれませんかあの人」
近藤「あー無理無理。目付けられたら終わりだよ。A君も分かってるでしょ?」
「まぁやっと離れられますけどねぇ」
如月の笑みを横で見つめながら、近藤はいたずらっ子のような表情で肩を叩いた。
近藤「そう言ってホントは寂しいんでしょ」
「ぜっったいあり得ません。大谷さんがあんな感じなのも近藤さんの影響ですね」
近藤「クソガキの翔平を育てた覚えはありません」
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陽 - この作品は最初の方から追わせていただいていた大好きな作品です!続編とても嬉しいです!ありがとうございます!これからも応援しています!更新頑張って下さい!! (3月26日 18時) (レス) id: ea57203bd0 (このIDを非表示/違反報告)
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