45 ページ2
試合が進んだのは2回からだった。今大会絶好調のターナーが今永のストレートを捉えて左翼席に運ぶソロホームランで1点を先制された。その後もなんとか踏ん張った今永。みんなに祝福されながらベンチへと戻ってきた。
今永「…ごめんね」
「何がですかぁ?たったの1点じゃないですか。まだまだこれからですよ」
今永「A君のそういうところ、良いと思う」
「……どうも」
如月が大丈夫だと感じたのは先頭の村上を見た上での判断だった。昨日のサヨナラから見間違えるように随分と明るい顔色だ。あんなに小さかった背中は今ではとても逞しく大きい。
そしてその期待通り、村上は初球を右中間二階席に運ぶ特大のホームランを放った。完全に復活した村上。少し遅いような気もするが十分だった。
戸郷「如月さん」
「お、戸郷」
戸郷「次俺なんですけど…」
「なに?また言ってほしいの?」
戸郷「言ってくれるなら嬉しいですけど、また違って」
「……自信ないの?」
再び歓声が広がる。二人で顔を上げれば、岡本もヒットを放ったようだった。
戸郷「正直に言えばないです。次はあのトラウト選手ですし」
「あのな戸郷。お前が侍ジャパンとして選出されてる時点で、自信持って良いんだよ」
戸郷「……はい」
「戸郷の適度な荒れ球、あれが返っていい効果だと思う。相手も的を絞りにくいし。思い切って勝負してこい」
戸郷「…ですよね。0に抑えて落ち着かせる。俺はそういう役割ですから。自分の自信のある球を優先的に投げて、あとは悠平さんに任せます」
「ん。そうしな」
戸郷に喝を入れて如月は立ち上がる。行き先はもちろんブルペンだ。
岡本、源田、そして中村の四球で満塁となった日本。アメリカは早くもケリーを諦め、ループにスイッチした。続くヌートバーの緩い一塁ゴロの間に岡本が生還し、1点を勝ち越した。
如月がブルペンに足を運んだ時、そこには高橋がいた。如月を見つけるなり高橋は縋るように身を寄せる。
高橋「如月さんどうしよう。俺緊張で吐きそうです。さっきからトイレも何回も行っちゃうし」
「…まぁ無理はないでしょ」
高橋「まじでやばいです。足もずっと震えてます」
「宏斗。お前の次は俺が投げるから、堂々と胸張って投げてきな。お前がどれだけ失点しようがなかろうが、俺が次で絶対に無失点で抑えるから」
高橋「…………如月さん」
「…ん?」
高橋「一生付いてきます」
841人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
陽 - この作品は最初の方から追わせていただいていた大好きな作品です!続編とても嬉しいです!ありがとうございます!これからも応援しています!更新頑張って下さい!! (3月26日 18時) (レス) id: ea57203bd0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ