vs阪神 ページ4
「A君と大谷さんがイチャついとる」
近本の冷静な一言にアップをしていた阪神の選手たちは一斉にベンチを見た。今まさに大谷の膝の上で不満そうに抱き締められているAの姿がそこにある。テレビでしか見れない光景を実際に目撃できた嬉しさに、泣きそうになっている選手もいた。
「……やばいめっっっちゃ写真撮りたい」
「アホ、盗撮するんか」
「大谷さんとA君の間に挟まりたい」
「キモ」
「俺あの2人相手に先発かよ……」
「大谷選手と神崎選手のサイン欲しい」
「湯浅と中野に頼むしかないやろ」
もはや言いたい放題である。誰もが憧れを前にして、野球少年へと変化していた。そしてその憧れの凄さをこの後目の当たりにする事になる。
球場のどよめき。それは強化試合が始まり3回での出来事だった。左膝をつくような体勢から片手でセンターへ一撃を打った大谷。これには流石のAも舌を巻いた。
「同じ人間とは思えない…」
ボソリと呟いたAの言葉は球場の熱気で覆い隠された。塁を踏み、ヌートバーや近藤らとハイタッチをして戻ってくる大谷。次はAの打順だが、あんなホームランを打たれたらやりにくいとしか言いようがない。
「ねぇ変なホームラン打たないでよ…!」
「A、期待してるよ」
「空振り三振しそう」
「大丈夫だって」
ヘルメットごと雑に撫でられそのまま戻っていく。ヌートバーや近藤にも激励の言葉を浴び、Aは緊張で鳴り響く鼓動を抑えようと息を吸った。
(………まぁ次の宗ちゃん達に繋げられるように頑張ろう)
そう心で呟き、初球の低めのフォークをそのまま打った。バットの芯に当たったそれは高く上がりそのままスタンドへと入る。大谷のスリーランホームランに続き、ソロホームランを放ったAに再び球場は盛り上がった。
「……まじか」
打たれた才木は呆然としてマウンドに立ち尽くす。悔しい気持ちは当然あったが、どこか嬉しい気持ちも存在した。
「Aえぐ!」
「宗ちゃん、頑張って…!」
「翔平さんに続いてAまでホームランとか俺のプレッシャーヤバいんだけど」
村上の気持ちが痛いほど分かる。同情しつつもベンチへと戻れば、一斉に選手たちから声が掛かった。
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名無しの作兵衛(プロフ) - ゆうさん» そういえば帽子でしたね💦忘れてました!ありがとうございます (4月5日 6時) (レス) id: 8a20bca9f6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 細かいことすみません💦💦守備の時はヘルメット被らないんですよ!!細かくってごめんなさい🙇🏻♀️🙇🏻♀️ (4月5日 0時) (レス) @page11 id: b3677bafaa (このIDを非表示/違反報告)
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