41話 ページ42
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Aは諸伏に向き合って真剣な顔をする。
『諸伏さん。この先命の安全の保証は出来ますが、見ていてきっと心地のいいものではないでしょう。
それでも着いてくるかどうか、貴方が決めてください。』
「暗闇の森の中貴方を1人待っていた時から、私の覚悟は決まっております。無理を申し上げて申し訳ありませんが、私もどうかお連れ下さい。」
『おけです』
「おけです...」
さっきまで真剣な雰囲気だったのに突然LINEになるA。諸伏は若干遠い目をしながら前を歩く彼女について行った。もしかしなくてもこの人ちゃらんぽらんだな??正解です。
「...勝つ算段がおありのようですね」
『この程度の鬼に勝てないのであれば柱の称号などとうに捨てています』
「はは」
きっかりと言い切った彼女の様子に、諸伏は眩しげに目を細めた。この力強さと自信も鬼に襲われた人を救うのだな、と。
「...あなたの事が更に好ましく思えてきました」
『どうも...』
そんな急に言われても。困惑した様子のAにくっと喉を鳴らす諸伏であった。
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『...』
「ここは...」
雑木林を抜けた先に、寂れた小さな一軒家を見つけた。中から溢れ出る禍々しい空気と、濃い血の匂いに思わず諸伏は口元を抑えた。
『拠点です。』
「...っ」
『やはりここに居ますか?すぐに片付けてきます』
「いえ...一緒に行かせてください」
顔色をこんなに悪くしているのに、1度言った言葉は曲げない諸伏。彼女は一瞬キョトンとしたが、次の瞬間花が開くように穏やかに笑った。その笑顔に目を見開く。
「幻中さん...」
『変わってますね、諸伏さん。』
そういうところ嫌いじゃないですよ。なんて。そんなことを言われたら、更に貴方に惹かれて仕方が無くなるのに。全く罪な人である。
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はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (3月23日 14時) (レス) @page41 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいしいくじら | 作成日時:2024年3月1日 16時