33話 ページ34
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ピリ、と屋敷の外から強い風の気配がする。恐らくこの気配は不死川だろう。しかしAは気付かないふりをしたまま彼らと談笑を続けた。
程なくして冨岡達も気がついたようだ。彼らが裏手口に目を向けたちょうどその時、風柱 不死川が到着した。
「チッ!おいテメェらァ、何こんなとこでだらだら駄弁ってやがる!」
「お、1番遅れてきたヤツが1番偉そうだぞ」
「お前の方がだらだらしている」
「あ゙ぁ!?」
冨岡の言葉にビキッ!と顔中に青筋を浮かべる不死川。相変わらずこの2人は相性が悪いのだ。そんな彼らを見ながら、Aはそっと彼らの傍を離れようとする。何よりも、不死川に気づかれないうちに。
「テメェ...ちっ!」
『...』
不死川が彼女に気がついた。一瞬目を見開くも、その瞳には徐々に怒りと嫌悪の感情が乗っていく。冨岡のように噛み付くことは無いが、機嫌が悪そうに舌打ちをした不死川は彼女から視線を逸らした。まるで顔も見ていたくないといったように。
『...』
「(あわわわ...っ!あの二人、仲が悪いのかしら...!?毎回顔を合わせる度にああなってるわよね...不死川さんといる時だけAちゃんもどこか様子がおかしいし...)」
他の柱達が心配そうに2人を見やるも、不死川は彼女のことなど視界にも入っていないといったふうな態度だし、Aもそれを受け入れた上で何も言わずスルーしているというか。とにかく確執が一つや二つなんかじゃなさそうな雰囲気に、何処と無く呑まれそうになった時。
「____おはよう、私の可愛い子供たち。」
我らがお館様の御成りである。
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はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (3月23日 14時) (レス) @page41 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいしいくじら | 作成日時:2024年3月1日 16時