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11話 ページ12

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キュラソーの思考を読んだかのようにAはキッパリと言い切る。


『怖くない。この程度の鬼に負けるようじゃ柱なんて務まらない。』

「お、大口を、叩くな...っふふ、僕の、僕の貯蔵庫には、まだまだ沢山人がいるんだ...ふふ、それらを喰らってお前を殺すよ...っせいぜい、今のうちに、命を惜しんでおくんだね...っひひひ!」


鬼はそういうと、再びぐにゃりと形を変貌させ彫刻に溶け込んでいく。キュラソーが慌てて斬撃を飛ばせと言うが、Aは首を横に振った。


『あれはもう普通の彫刻だ。ただの触媒だったに過ぎない。』

「わかるの?」

『何年も鬼を相手にしてると』

「そう」


じゃあこれからどうするの?とキュラソーは問う。


『キュラソー、絶対に邪魔されたくない食事があったとして、それは何処でとる?』

「どこでって...自分しか知らない誰も入ってこない場所で...」

『そうだね。邪魔をされたくないということは、誰にも見つからない場所だ。鬼は日光が苦手。だから少しでも身の危険がありそうな外という選択肢は除外。』

「じゃあ、館内のどこか...でも、人に見つかる恐れがあるかもしれないわ」

『うん。最悪その人間も食事にしてしまえば問題は無いけど、きっと騒ぎにはなるだろうね。今までの博物館や美術館の潜伏期間を考えると、そう頻繁に拠点を変えるような鬼では無いことがわかってる。
だから鬼狩りまたは一般人に邪魔が入る恐れのある館内の可能性も低い。』

「じゃあ...?」

『残る可能性は...地下(した)だ。』

「...!」


ゴクリと唾を飲み、館内の冷たい廊下を見下ろすキュラソー。


「地下って...でも、そんなのどうやって...」

『鬼にしては珍しくない。日の光が天敵の鬼にとっては絶対に陽光の届かない地下っていうのは最高の生活場だろうから。』


そう言いながら、Aは無線で誰かに連絡している。


『ご苦労さまです。幻中です。申し訳ありませんが、この博物館の建設会社の人間に繋いでいただくことは可能でしょうか?...はい、早急に。』


恐らく先程の刑事に連絡しているのだろう。


『承知しました。お願いします。』


ピッと無線を切ったAに、キュラソーは浮かんだ疑問をぶつける。


「鬼が独自に穴を掘っているっていう可能性はないの?」

『いい発想だね。そういったパターンも多い。だけど今回の件は多分...人間が関与している。』


Aのワントーン低くなった声が静かな館内に響いた。





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はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (3月23日 14時) (レス) @page41 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:おいしいくじら | 作成日時:2024年3月1日 16時

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