10話 ページ11
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止まることの無い不気味な笑い声。その声は段々と増していき...
「!」
『...』
____古の呼吸 紅麗の斬撃
ゴウっと真紅の斬撃がその彫刻...もとい鬼に迫る。しかしするりとそれを避けた目の前の鬼は、グズグズと姿形がままならないまま笑う。
「ケッケケケ...くく...あた、あたら、当たらない...っひひ...」
『何がおかしい』
「ふ、ふふ...ケケケ...っひゃひゃひゃひゃひゃ!」
まるで酒に酔っているかのように、ケラケラと笑いながらふらつく鬼。ともすればおちょくられているような感覚に、きっと今までの隊士は激高して感情のままに斬りかかったのだろう。
Aはそう冷静に分析しながらも、警戒しながら相手の出方を伺っている。
『...お前、人を食ったのはこの博物館が最初じゃないな?』
「いっ、如何にも...っふふふふ」
『1ヶ月前の東都記念博物館で5人...更に2ヶ月前の杯戸町美術館連続行方不明事件で12人といったところか。』
「よ、よく知ってる...ね...っふふふひゃひゃひゃっ!おかげで、随分、強くなった気が...っひひ、するよ...ふふふははま、稀血...稀血もいたから、ひひ...っ僕は幸運だあ...」
恍惚とした表情であの人間は美味かったと呟く鬼に、得体の知れない激しい嫌悪感を抱くキュラソー。稀血って?とAに耳打ちすると、その名の通りごく稀な...人口約1%の割合の人間が持つ、鬼にとって栄養豊富な所謂ご馳走のことを指すのだと教えられた。
『...あいつは計27人...稀血分の人数で換算するとおよそ40人は喰っているということになる。』
「40人......」
途方もない数字だ。キュラソーは眩暈のする錯覚を覚えた。
「あは、アハハハ...お前も、お前も稀血だね、に、匂いでわかるよ...っふふ。お前を喰ったら、お前を喰ったら僕は下弦の鬼に入れ替わりの、血戦を申し込める...っふふふふふ!ありがとう、僕、僕の前に現れてくれてっ...ふふ!」
Aを指さし嬉しそうに笑う鬼。キュラソーはまさかと彼女を見ると、静かにAは頷いた。
『私は稀血。そのおかげで鬼がよく集まってくれる。』
「あ、なた...そんな、」
まるで自分を囮だと使っているかのような発言に、キュラソーは戦慄した。怖くないのか。命を狙われて、その歳で、体中に傷を作って。
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はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (3月23日 14時) (レス) @page41 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいしいくじら | 作成日時:2024年3月1日 16時