2話 ページ2
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満月の夜、シャキンという音を立てて刀を鞘にしまう女が1人。月夜に照らされた白銀の髪の毛の隙間からは、サファイアブルーの美しい瞳がキラキラと輝いている。雲に隠れていた月の光が、彼女の顔を照らし...その鬼のような美貌が顕になる。周囲であたふたと事後処理を行っていた隠達は、思わず芸術作品のようなそれに見蕩れてしまう。
『...では、私は次へ向かいます。』
「はっ...はい!お気を付けて!」
「ご武運をお祈りしております!」
「ご武運を!」
彼女の声にハッと意識が戻った隠達。背を向けスタスタと歩き去っていくその姿は、凛とした1輪の花のようで。憧憬の視線を彼女に向けながら、彼らは事後処理作業に戻って行ったのであった。
『...』
彼女の名は
そんな鬼殺隊最高戦力と呼ばれる彼女、とある悪癖を持っていた。
「おいAっ!!アンタまた怪しい人間拾ってきたな!?」
『獪岳、ただいま。』
「おうおかえり…じゃなくて!!この女誰だよ!!」
『キュラソー』
「名前教えろって意味じゃねえ...っ!」
彼女が屋敷に帰ると、青筋をビキビキと顔に浮かばせた男___名を獪岳という___が待ち構えていた。彼はAが気まぐれにスカウトした継子であり、継子の割には古の呼吸を仕込むのではなく鳴柱にしてやると宣言され拍子抜けした男でもある。彼女曰く別に古の呼吸を極めなくてもいいらしい。既に極めたい呼吸があるなら極めればいいとの事。
しかし、それはそうとしてやはり古の呼吸継いでくれそうな人間も欲しいから、彼女は時折ふらりとどこかに消えては気まぐれに人間を拾ってくるのである。猫とちゃうんやぞ。
「だからってなんで毎回毎回こう明らかに面倒臭そうな訳あり拾ってくるんだよ!!!」
『強そうだから』
悲しきかな彼女は極度のマイペース人間であった。危機感を持て。
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はる - やば、めっちゃ最高…!!ゆっくりでいいので更新待ってます‼ (3月23日 14時) (レス) @page41 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おいしいくじら | 作成日時:2024年3月1日 16時