君が夢をみれますように (ページ10)

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《ソヨンが振られたらしいよ。》

私は廊下を走っていた。

心臓には負担がかかっているけれど、私の足は止まることを知らなかった。

「…大丈夫？」

女子トイレのピンクの扉を勢いよく開くと
ソヨンは鏡の前で涙を流していた。

SY「A…私、どうしよう。」

「大丈夫だよ、ソヨン、こんなの一瞬で、」

SY「…Aは、私の気持ちが分かるの？
一瞬で噂なんかが消えてくれると思う？」

ソヨンは心に大きな火傷を負っていた。

好きな人も助けられないあたしって最低だ。
人の気持ちなんて考えてなかったな。

私しか助けられないっていう自分勝手なエゴのせいで、
女子トイレに飛び込んだのかも。

「…ごめん、勝手なこと言った。」

SY「…ヘチャンくんにね、言われたの。」

「あ、うん、なんて？」

SY「…おれ、興味ないんだよね。って。」

「…うん。」

SY「私の事、見てくれてると思ってたのになァ…」

ソヨンの白い肌がだんだん赤く変色する。

「ねぇ、もう擦んないで、赤くなってる。」

ソヨンの手を握りながら私は赤くなった部分に
自分の冷たい手をそっと触れた

SY「…A、あたしのことスキ？」

その日の私は気が狂ってた。

あたしさえ良ければ世界は幸せだって思ってた。

ソヨンの手を女子トイレの外でも繋いでられるって思った。

「…好きだよ。あたしだったら、大切にするよ。」