一章 〜はじまり〜 ページ3
『…いったぁ…』
殴られたような頭の痛みで目が覚めた
普段から眠りが浅いからか
少しの痛みでも意識が戻される
少し前まで私は家の近くの道を歩いていた
はずだ
その時に鈍い音と鋭い痛みで意識を
失った気がする
ここは一体どこなんだ…？
『…とりあえずここから出ないとな』
無防備に横たわっていた体を起こし
暗い部屋を壁伝いに歩く
どんな部屋にも明かりくらいあるだろう
歩いていると手に何かが触れた
電気のスイッチだろうそれを押すと
思った通りに明かりがついた
『…あ、ドアあるじゃん』
こんなに簡単に出口を見せても大丈夫
なんだろうか
私のように手先の器用な人は鍵がかかって
いたとしても関係ないんだよ
持っていたヘヤピン真っ直ぐに伸ばして
無造作に鍵穴へ突っ込む
様子を見ながら回していくと
ガチャっと音が鳴った
本当は脱出ゲームみたいに鍵を探せって
ことなんだろうけど
そんな面倒なことはしてられない
時間がかからない方がいいでしょう？
ゆっくりドアノブを回してドアを開ける
少し顔を出して外を見ると
誰もいなかった
それに外ではなく、まだ部屋が続いている
つまり隣接する部屋に出ただけという訳だ
『…はぁ、なんでこんなことに…』
誰もいない部屋で独り言が響いた
私が出てきた部屋の隣には他にも
たくさんの扉があった
どこが出口か分からない以上
いろんな所を見て回るしかないか
私は出てきた部屋の右側の扉に近づいた
ドアノブに手をかけたその時
回していないのに勝手に回ったドアノブと
勢いよく開いた扉に驚いた私は
自分でもびっくりするほど腰が抜けた
ように座り込んだ
部屋から勝手に出てきたことがバレたら
ヤバいだろう
しかし分かっていてもその場から動けない
「おっと…大丈夫？」
思っていた言葉とは違う、心配した声に
目を見張った
それにこの声…
どうして…？
『…なんで、ここにいるの？リンタロウ』
「やぁ♪久しぶりだね」
前と変わらない
いや、前よりも酷くなった
私が見捨てたあの日から
「…まだ他にもいるみたいだよ♪連れてこられた人」
『どうしてそんなこと知ってるの？』
「だって一人じゃなくてAもいるじゃん♪だったら他にもいるってことじゃない？こんなに部屋があるんだし♪」
『…そうだね』
リンタロウは、怒ってないのだろうか…
私が見捨ててしまったことを
逃げてしまったことを
.
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絵描きさん(プロフ) - あいり???さん» ありがとうございます！頑張ります！！ (2018年5月20日 14時) (
レス) id: 2c9b4e9ca8 (このIDを非表示/違反報告)
あいり???(プロフ) - 凄いこれだけでも泣けた.......更新頑張ってください(無理しない程度に)待ってます！ (2018年5月20日 3時) (レス) id: 059e03013d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絵描きさん
| 作成日時：2018年5月9日 0時
