参拾《9》 ページ31
伏黒side
「五条先生も、虎杖も、心配してます」
『そっか、ごめんね。私も好きで呪術使ったわけじゃないからさ』
「…狗巻先輩と何話してたんですか?それであんたこうなったんだろ」
『え?言わないよ、言う義理ないよね』
「責任の問題ですよ、表であんだけ盛大に術式展開して…簡単に逃げられると思ってるんですか?」
『わぁ、怖いね』
A先輩の呪術
相伝された術式はかなりのレベルだ
俺は今まで何度か任務に同行して
間近で見る機会があったが
今回の空間はこれまでのとは違かった
基本的にこの人の戦い方は
襲いかかってきた呪霊と自分との間に
異空間を開くことで拘束し祓うのが主
その普段使う空間を「冥」と呼んでいた
確かに地獄のような空間だったのだけ
覚えてる
微かに見えた空間の中で
蛆のようにひしめき合う呪霊を見たから
けどここはそんな地獄とは思えなかった
暗くて不気味ではあるけれど
確かな人の温もりがあった
俺の記憶が正しければ
それが噂の「棘」なんだろう
乙骨先輩しか入ることを許されていないと
五条先生も禪院先輩も
みんなが口を揃えて言う
どういう意味なのか分からなかったけど
なるほど、そういうことなのか
ここはA先輩の心の中のようなもの
なんだと思う
いつも不安定なこの人の心をまるっと
映したような空間だから
だから乙骨先輩しか入れないのか
本当に俺が入って、良かったのか?
「…俺には、何も話してくれないんですね」
『まぁね』
すごく、悔しいと思った
初めてこの人に負かされた時よりも
ずっとずっと悔しい
俺は見てきたんだこの数ヶ月
きっと誰よりも近くで見てきたはずだ
乙骨先輩の代わりなんだから
あの人のように先輩を見れていたはずだ
それでも埋まらない
この壁はなんだ?
あの人にあって、俺にはないものなのか
『…そう自責の念に駆られずとも、君に非はないよ。私の問題だからね』
「……顔に出てましたか」
『ここ、軟禁とか拷問、尋問とか、そういう系の空間なの。たとえ低級の呪霊だとしても、何かしらの情報を取れないならこの空間は無意味なのね。ここでの尋問とは、言葉を使わないものなんだよ』
「…きもいっすね」
『すごいと言って欲しいね』
要は考えていることが丸分かりってことだ
会話不可能な呪霊がほとんどの中
その呪霊相手にも情報を吐かせる呪術
だから、素直になれ…か
.
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わらびもち - 主さんの文章力で夢主の心の闇がきっちりと表現されてる…。場面も分かりやすい…。すごい…。これからも頑張ってください! (2021年1月16日 12時) (レス) id: a494b1d180 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 更新頑張ってください!応援してます! (2020年10月27日 21時) (レス) id: 495bc5f437 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白いです頑張ってください! (2020年10月25日 11時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
絵描きさん(プロフ) - *瑠璃*さん» 良かったです!今後外れていなかった際はご報告頂けると嬉しいです…! (2020年10月25日 1時) (レス) id: 215c832e11 (このIDを非表示/違反報告)
*瑠璃* - 絵描きさんさん» 大丈夫です!ちゃんと外れていますよ! (2020年10月24日 11時) (レス) id: f48c22676e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絵描きさん | 作成日時:2020年10月19日 23時