弐拾捌《7》 ページ29
伏黒side
「五条先生!A先輩…は…」
「ちょーっとやばいかもねぇ」
「うわっ、なにあれ?」
「なんかの術式…よね?なんなの?」
A先輩はいつも不安定だ
精神的な面はもちろん
呪力の波も、濃さも、何もかも
最初に俺があの人を認めなかったのは
呪術師としてそれが弱点だと思ったから
この人が俺よりも強いなんて
簡単に信じてやれるほど俺は自分に甘くない
この人より劣っている俺も弱いんだと
認めるようなものだったからだ
ただ、それは最初の話
今はこの人のことを知って
理解した上で尊敬してる
誰よりも努力を怠らない人だ
何よりも揺るがない信念を持っている人だ
俺はそれをちゃんと分かってる
ただ、弱い部分は絶対に見せない
この間の虎杖の件で病院に送られてる時
俺の預かり知らないところで倒れていた
本来俺はそういう弱く綻んだあの人の心を
支えるべきはずなのに
まだそれを許されていないのが
今になってこんなにも大きな壁になるとは
きっと誰も思っていなかった
「五条、先生…俺はどうしたら…?」
「そうだね…行ってきな恵。もしも暴れるようなら僕と悠仁が押える」
「……俺でいいんですか」
俺よりも五条先生の方が近い
五条先生よりも乙骨先輩の方が近い
俺はあの人の近しい人の中に
ちゃんと入っているのか
俺よりも、多分五条先生の方がいい
実力的にもそうだけど
明らかに特別視されているから
「いいんだよ恵で、僕じゃあまだ足りないらしいからね」
「え…?」
「恵、Aと話す時は絶対に嘘をついちゃダメだよ。あと心を開こう、全開まで」
「…はい」
いいと言うなら、いいんだろう
あの人に嘘なんてついてないし
心だって開いてると思うけど
まだ足りないってことなのか
五条先生でもまだ足りないように
俺もまだ足りてなかったんだ
狗巻先輩となに話したんですか?
こんなになるまで冷静さを欠くなんて
それだけ狗巻先輩と仲が悪いんですか?
あんたの術式、まだちゃんと分かってないの
かもしれないです
俺のこともちゃんと話してないけど
あんたも俺に何も話してくれねぇじゃねぇか
正直に心を開くのはあんたの方だ
俺はゆっくり、先輩の周りに漂う
黒い歪みに手を突き入れた
.
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わらびもち - 主さんの文章力で夢主の心の闇がきっちりと表現されてる…。場面も分かりやすい…。すごい…。これからも頑張ってください! (2021年1月16日 12時) (レス) id: a494b1d180 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - 更新頑張ってください!応援してます! (2020年10月27日 21時) (レス) id: 495bc5f437 (このIDを非表示/違反報告)
きゃーぽん(プロフ) - 面白いです頑張ってください! (2020年10月25日 11時) (レス) id: 0aee990b2e (このIDを非表示/違反報告)
絵描きさん(プロフ) - *瑠璃*さん» 良かったです!今後外れていなかった際はご報告頂けると嬉しいです…! (2020年10月25日 1時) (レス) id: 215c832e11 (このIDを非表示/違反報告)
*瑠璃* - 絵描きさんさん» 大丈夫です!ちゃんと外れていますよ! (2020年10月24日 11時) (レス) id: f48c22676e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:絵描きさん | 作成日時:2020年10月19日 23時