【呪術廻戦】狗巻と黛はすこぶる仲が悪い

弐拾柒《6》 ページ28

狗巻side





『私は、頑張ってるでしょ…？』





頑張ってるよ、誰よりも



たくさんの努力の上に

今の実力がある



Aはなんでもできるけど


悟みたいにやってみたらできちゃった

っていうタイプじゃなくて


できるようにたくさん努力して

やっと身につけた多彩な才



地道な頑張りを経た万能だ



誰がなんて言おうと

一番頑張っているのはAだよ



頑張る理由が例え俺への見返しだとしても

復讐心だとしても


それでもいいよ




「…呪言、やめてくれる？」

『なんで……？そんなに、私の呪言が嫌いなの…』

「……嫌いだよ」




Aの幸せを奪っていくだけの

その未熟な呪言なんか、嫌いだ



Aはそのままでも十分強い

昔と比べてずっとずっと、強くなった


だからこれ以上無理する必要なんてない



喜一さんには俺が話をつけるから

もう頑張らなくていいから




二度と、倒れたりしないで





「…俺は、Aが…」

『いい、もういい。分かったから…どっか行ってよ』

「……明日は任務ないって」

『…うん』




昔にできた傷がまだ癒えない

ずっと血が流れ出ていて、すごく痛い


何を間違えたんだろう

なんで、あんなことを言ったんだろう



俺が負った傷よりも

Aの心の方が傷だらけなのに


俺だけが我慢していると思っていた



自分のことと、Aのこと

どっちも背負う覚悟もないのに


呪言を封じたり

嫌味を言ってわざと嫌われたり


何がしたかったんだ、俺は



結局行き着く先は

昔と同じ場所なんだ


ただAを、自由にしたかった




まずは心の穴を塞ごう


俺の話をちゃんと聞いてくれるように

俺の目を見てくれるように



正直に言おう


誰が死んでも悲しいけど

Aだけはそうじゃない


守りたいんだ俺が

死なせないように


悲しいじゃ済まないから

俺が守るんだ




誰よりも、失いたくないと





「…大丈夫、明日にはきっと……」




明日にはきっと

Aもいつも通りに戻る



きっと俺も、優しくなれる




きっと、明日には…



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『うん……大丈夫だよ、嫌なものは"棘"に隠して…かく…か、かくさなきゃ…』





隠さなきゃ、早く


早く



棘にバレないように

"棘"に隠すの


だって棘の中にあれば

棘は気づけないから



まだ、頑張らないといけないんだ


呪言使えないなら

他を磨かないと




まだ私、逃げられないんだ

.

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