【呪術廻戦】狗巻と黛はすこぶる仲が悪い

拾壱《6》 ページ12

「黛せん…ぱいっ」

『も〜、最近しつこいね恵ちゃん』

「はぁ…ッあんたが逃げるからでしょうが」

『逃げてませんー』

「逃げてますよ」



恵ちゃん、男の恵ちゃん


初めての後輩、男の子

可愛い顔した、男の子


歓迎会の日は私のこと嫌がってたのに

あの日から何かと絡まれる



先生…なんか言ったな


憂太の代わりになれって言ったのかな

いらないって言ったのに…


それなら、どこまで話したんだろう



憂太が転入してきたとこからかな

夏油傑と戦ったとこからかな


私が暴走したとこからかな

先生にボコボコにされたとこからかな


それとも、先生が助けてくれたとこからかな

生きてるのを許してくれたとこからかな


憂太が私の心に踏み込んできたとこからかな

私が憂太を受け入れたとこからかな



もしかして、もう全部知ってる？



『恵ちゃん、私の世話頼まれたんでしょ。いいよやんなくて、憂太じゃないんだから』

「乙骨先輩とは、どうやって仲良くなったんですか」

『同じことしても、恵ちゃんのことは憂太みたく認めないよ。だって恵ちゃん、私より弱いもん』

「弱いやつ嫌いとか言って、強いやつも嫌いじゃないですかあんた」

『だって私が一番強いんだから、私より強いなんて認めないに決まってるでしょ』

「じゃあなんで、五条先生と乙骨先輩のことは好きなんですか」

『…へぇ、聞かされてないんだ』



走りながらの鬼ごっこ

しつこく追っかけてくる男の恵ちゃん


女の子ならまだ許せた

その顔のまま女であってほしかった



てっきり先生は恵ちゃんに私のこと

丸投げする気なんだと思ってたけど


まだ私のことは手放さないんだ


恵ちゃんに必要以上を教えてないってことは

先生にまだ見放されてないってことだ



『ふふっ…』

「な、なんで笑ってんすか」

『別に、恵ちゃんのことじゃないよ。2人を好きな理由、だっけ？教えないよ』

「はぁ？」

『恵ちゃんには私、何も求めてないから』



先生の愛弟子だろうが関係ない

私が恵ちゃんを好きになる理由にはならない


むしろなんで先生に見てもらってたくせに

私より弱いわけ


勿体ないな




『強くなんなよ、恵ちゃん』




そうしたら、少しは好きになれるかもね

.

拾弐《両面宿儺》→←拾《5》

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す