お姉ちゃん始めました【rbr】 (ページ43)

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「おい！あの方が帰ってきたぞ！」

入隊してからというもの

学校とは比べ物にならないほど扱かれた

訓練はきついし

少しのミスも見逃してはくれない

厳しく鞭にまみれた日々だが

食事はこっちの方が美味しい

トントンさんとは相変わらず共に

食事をとるのだが

彼もやはり今の方が楽しそうに食べている

そんなある日

その日は朝からやけに軍内が騒がしかった

人があちらこちらと駆けていく

『今日は何か特別な日なのかしら？』

「お前知らんの？今日はあの方がお見えになるんやってさ」

『あの方って…』

「おかえりなさいませ！！」

私の言葉を遮るかのように

騒がしく溢れかえった人々が頭を下げた

トントンさんもさりげなく頭を下げていて

私も釣られるように頭を下げた

「何も問題はなかった？」

「はい！ご心配されるようなことは何も…！」

「…そ？ならええんやけど」

これまた聞き慣れた訛りだ

声色は随分と若く感じる

それに似合わない、偉そうな態度

間違いなく、その年にして

偉い立場に立っている人なのだろう

「お、トントンやんな？」

「…はい」

「？…あぁ、そうやったな。卒業おめでとう、活躍を期待しとるで」

「ありがとうございます」

その人物は私たちの前でピタリと止まり

トントンさんの肩を叩きそう言うと

何事もなく奥へと進み出した

その後ろ姿が見えなくなった頃

周りの人々が折った腰を元へ戻したのを見て

私もやっと頭を上げた

『あの人と知り合いなの？』

「なに、親がちょいと顔の利く人でな。昔会ったことあんねん」

『へぇ…とてもお偉いさんには見えないわね。私達とそう変わらないんじゃないかしら』

「お前なんも知らんのか…ええか？あの方はオスマン第一外交官殿や、この基地にもよぉ顔出す人やから覚えときや」」

外交官…ということは王宮の役人ね

この軍には外交官志望の学科も

あるくらいだから

さしずめあの人は指導に来ているのかしら

なんなら私も外交官志望だったら良かった

それならわざわざ戦場に出る必要もないし

死ぬリスクも少ないのよね

まぁその分身内からの圧力で

殺されそうだけど

外交って怖いわよね

自分の一言で国の運命が別れるんだから

「あんま知られてへんけど、あの人は俺らと同い年やで」

『それはまたとんだ天才がいたものね』

「天才にも背負うもんがあんねん」

尊敬するわ

オスマンさん

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