お姉ちゃん始めました【rbr】 (ページ39)

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「ん、そっか！じゃあそれまでは楽しもうや、な？」

『そうね』

鬱くんに卒業のことを伝えると

以外にも彼は笑顔で肩を叩いてきた

てっきりしんみりしたような顔でもして

寂しそうに笑うかと思っていたけど

生きる残ることを目指すようになった

というのは本当のようね

『ひとらんさんは？』

「ん？あー、どこやろ。庭ちゃう？」

『よくいるものね、馬小屋もあるし…』

「げどちゃんにも話に行くんやろ？2人滅多に会わへんのやから、この際たっぷり話してきぃや」

『ありがとう、行ってくるわ』

滅多に、と言うほど話さない訳ではないけど

確かにあまり話さない

すれ違う時会釈したり

夕飯の時にたまに混じってきたり

その程度

鬱くんやトントンさんは

私が一人だと心配して隣を歩いてくれるけど

ひとらんさんは会うことすら少ないから

それもないし

話が出来る機会が少ないっていうのは

本当に厄介だわ

話したくても話せないんだもの

『…こんにちは』

「あ、そこ花の苗木植えたばっかだから気をつけて」

『これ…ひとらんさんが？』

「別に特別なことはしてないよ。せっかく広い庭があるのに、色味ないのもあれだから教官に申請出して使わせてもらってるの」

『じゃあ庭に植物が増えたのはひとらんさんがやっていらしたってこと？』

「そうなるね」

彼は畑や動物が好きなようで

よく庭にいることは知っていたが

まさか庭の世話までしているとは

思わなかった

本当に自然が好きなんだと

感心せざるを得ない

『少しお話があるんです。いいですか？』

「ん？いいよ、どうしたの？」

『来週の試験が終わったら私とトントンさんは卒業することになりました』

「え、あ…そう…なんだ、残念。来週ならまだこの花も咲いてくれないね」

『今のままでも十分綺麗ですよ』

庭を一面見渡してみる

色とりどりで

この小さな蕾でさえ一つの個性に感じる

「咲いたらもっと綺麗なんだよ。…ちょっとくさいけどさ、この花Aさんに見せようと思って植えたんだ」

『え…私に？』

「うん。アスチルベっていう花でね、初めて会った時から、Aさんにはこの花がぴったりだなって…ずっと思ってた」

『ふふっ…じゃあひとらんさんがここを卒業してまた再会できたら、その時はまた見せてくれますか？』

「うん。その時はちゃんと咲いてから、ね」

アスチルベの花言葉は『自由』

そして、『恋の訪れ』

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