お姉ちゃん始めました【rbr】 (ページ37)

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『手紙…』

「ん？今日も来たんか？最近多いな」

『そうね、嬉しいけど…』

パートナー契約を言い渡されてから数日

まだ契約は結んでいないが

校内にはその噂が広がっていた

まだ1年生の2人が

王宮からパートナー契約を指示された、と

大抵の人があまりに無能だからだろうと

私達を笑うが

私達と同じ段級の人々は

ただただ困惑していた

私達の組はパートナーでもトップクラス

契約なんて結ぶ必要すらないはずなのに

そう、頭の中が透けて見えるほどに

皆が顔に困惑の色を見せていた

正直言えば

私達の方が困惑しているところだけどね

なんて、苦く笑いながら

最近多い手紙の中を覗く

「手紙、なんて？」

『…弟が…』

「？」

『弟が…し、賞を取ったって…実用を目的にした通信機器の開発で、弟の案が採用されたみたい』

「え、めっちゃすごいやん」

『すごいなんてもんじゃないわよ！…だってあの子、まだ12歳…』

私の知らないうちに

あの子がここまで成長している

嬉しい半面

寂しいのが本音だった

まだ強い言葉も知らないこの子に

そんな才能があったなんて

私が一番に見つけて

すごいねって、言ってやりたかった

「…今後、この子は国のためになるものを開発してくれるかもしれんな」

『そうね…そうなったら、弟はきっと幸せに暮らしていけるわ』

今のあの子は所詮下級貴族

上には逆らえない立場

けれどもしそうなったとすれば

あの子は誰からも支配されない

お父様からもお母様からも

国とも平等になれるかしら

国民に支持されて

たくさんの味方が出来るわ

あの子が一人になることはなくなるの

『お返事を書きましょうか。あなたのことも紹介しないとね』

「ええよ、別に。大先生のことは婚約者って説明したんやろ？俺はなに？大先生の使用人か」

『不満みたいね』

「当たり前や、普通逆やろ」

『あなたが婚約者になるの？』

「大先生に仕えるとか嫌やし」

『言えてるわね』

いつか、あの子の元へ帰ってこれたら

その時はたくさん抱きしめて

たくさんキスをして

たくさん話がしたいわね

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