お姉ちゃん始めました【rbr】 (ページ19)

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甘く見ていた

軍の隔離学校に入れられて

早一週間

ここはまるで地獄のようだ

入学当日、いきなり言い渡されたのは

毎朝6時起床、5キロのランニング

7時、30分間の朝ご飯

7時半～12時半、基礎学

30分間の昼ご飯

そして午後はひたすら剣を振る

ご飯の時間以外に休憩などない

完璧なスパルタ具合

今まで勉強だけを続けて

外で遊ぶなんてしてこなかった私には

正直、ランニングと午後の訓練は

苦でしかない

同期で入った他の人達も辛いようだ

まぁ一部例外もいるけど

「あ、君可愛いね！新入生やろ？俺もやねん、仲良くしような。名前なんてーの？」

『まず自分からでしょう、誰よあなた』

「え、俺？知らないの？結構知られとると思ってたんやけどなぁ…鬱です、君は？」

『…Aよ、あなたも強制入隊？』

「せやでー？うち農家やしな、まぁ想定内って感じやわ」

『そう…』

「ここにいる時点で、もう長く生きられへんのは君も分かっとるやろ？」

ヘラヘラと馴れ馴れしいこの男

鬱というらしい

この男も農家の生まれ

私と同じく強制入隊でやってきた

元々自ら隊に入る者なんて

極わずか

だから農家の若者に強制入隊を強いる

男はそれを知っているから

そもそも自由になることは望まない

当たり前のことだと

諦めていた

私には分からない

死ぬよりも生きた方が何倍もいいのに

『私は、出来るなら生きたいわ。あなたと一緒にしないで』

「無理やって。どうせ死ぬよ、君も」

『それでもよ』

意地を張り続ける私に

男は諦めたのか話を変えた

「ところでAちゃん、その首飾りハリスのじいさんとこのちゃう？」

『あなたハリスさんを知ってるの？』

「当たり前やん、世話なったしな」

主に女のプレゼントで

と付け足した男は

私のそれをまじまじと見る

「そいえばこんなんあったなーってくらいしか覚えてへんかったけど、誰とお揃いなん？これペアでつけるやつやん」

『…変な期待しないでちょうだい。弟よ、3つ下の。あなたの死んだ目と違って、とても綺麗な瞳なのよ』

「え、なに、なんか貶された？」

あぁ、なんだかこの男の扱い

だんだん分かってきたわ

いじればいいのね

『あなたの主張の激しい顔と違って、あの子は顔もこじんまりとしてるし』

「正直にデカイでええよ、もう」

『そうね、とてもデカイわ』

「それは言い過ぎ！」

あぁ、これなら少しは

楽しくなるかしら？

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