お姉ちゃん始めました【rbr】 (ページ14)

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「あんた、どうしたんだ？」

『え？』

血の滲む傷口を洗って

ついでに付いた砂も落としていると

横から男の子が顔を覗かせた

知らない子

ロボロの友達じゃなさそうね

『さっき転んだから、傷口を洗っているのよ。君はどうしたの？』

「俺はなにもしてない、歩いてただけだ」

『そうなの、お母さんは？』

「一人だ」

『あら、それはつまらないわね。傷口を洗い終わるまで少しお話でもしましょうか』

「…構わないが」

子供らしからぬ言葉使い

この子には同じ匂いを感じるわね

服も少し高そう

裕福な家庭のようね

『君も、弟には負けるけれど綺麗な瞳を持っているわね』

「？あんたは普通の瞳だが…」

『あぁ、弟とは血が繋がっていないのよ。スラムから拾ってきた子なのだけれど、今まで育てるのに苦労したわ』

「…弟のことが嫌いなのか？」

『まさか。これを見て、お揃いのものを付けているのよ。ほら、あそこで遊んでいるのが弟』

「大事にしているんだな」

『えぇ…そうね』

いつのまにか足は洗い終わっていて

普通にお喋りを始めていた

近くの木の影で座って

遠くで遊ぶロボロを見ながら

隣に座った男の子と

いろんな話をした

知らない子だからこそ

思い詰めたものも溢れていって

辛い感情も

素直に口にしていた

『私ね、明日軍の学校に入れられるの。2年間勉強して、それからは戦場に出されるわ』

「そうなのか」

『まだ、あの子とも沢山一緒に居たかったのだけど…軍に入れば、帰ってこられないことは分かっているの。生きて帰ってこれるはずがないわ』

「でも、あんたは貴族だ」

『貴族でも軍に入れるのよ？私を守ってなんてくれないわよ』

「それはこの国が悪いからなのか？」

『えぇ…この国の国王はね、国民を道具としか思っていないの。幸せなんて考えてもいないのよ。あなたもいつか分かる日がくるわ、この国は残酷よ』

「分かる日はいつ来るんだ？」

『そうね…あなたの大事な人や、大事なものが壊された時よ。私の場合は家族だったけれど…君にもあるでしょう？大事なものが』

「どんなに小さなものでもか？」

『大きさなんて関係ないわ。大事なものなら、それが大事であることに変わりはないもの』

少年は綺麗なブルーの瞳で私を見つめ

金色の髪を揺らした

「……グルッペン・フューラー。二年後、この名前を再び聞く時、あんたはきっと幸せだ」

『…それ、どういう意味…？』

少年は笑うだけだった

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