お姉ちゃん始めました【rbr】 (ページ11)

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『さ、次は小物屋よ』

「うん」

服の入った袋を持って

再び道を歩き出す

いつも誰かが持ってくれていたから

気づかなかったけど

荷物って重いのね

『ここよ』

「ここ？狭いところだね」

『あまり知られてないところなの、けれど品はいいのよ』

「お姉ちゃん、いろんなこと知ってるね」

『雑学だけね』

私、勉強は好きじゃないのよ

そう続けると

ロボロは不思議そうな顔をした

そうよね

今まで馬鹿みたいに勉強してたもの

お父様に認めて欲しかったの

今更ね

『ハリスさん、ご機嫌よう』

「これはこれは、エヴァンズ様のお嬢さんじゃないですか。弟さんもお連れですか？」

『えぇ、この子とお揃いの首飾りが欲しいの。何かあるかしら？』

「あぁ、そういうことならいいのがありますよ」

『貴方のセンスは信用しているわ。出してみてちょうだい』

「えぇ今すぐ」

ここの店主のハリスさんは

貴族だろうが扱いを変えない、いい人だ

私達相手にも平気でお金を取るので

品はいいが売れていない

まぁ、私には関係ないわ

いいものが欲しいんだもの

お金は対等な対価よ

「さ、これですよ」

『…なぁに、この名札みたいなの』

「あはは、名札ですか」

出てきたものはこの店には珍しい

一枚の小さな鉄板をつけた首飾り

首飾りなんて言葉すら危ういわ

本当に名札みたい

「お嬢様がどんなお気持ちで弟さんとお揃いの首飾りと言ったのか、わたくしめには分かりませんがね。きっとこれが一番でしょう」

『これが…？』

「えぇ、これにはしっかりとした使い方があるんですよ」

『名札にするの？』

「半分あってますが、半分違います。お二人とも、これに名前を掘ってください。もちろん、ご自分のですよ」

そう言ってハリスさんは私達に

彫刻刀を差し出した

これ…木を削るやつじゃない

本気で言っているのかしら

「大丈夫ですよ、今はまだ柔らかいですから。好きなように掘ってください」

声に出していたのか

ハリスさんは笑いながら教えてくれた

シワの入った目元が

笑ったことでさらに深くなる

年をとっても無邪気な笑顔って

できるものなのね

『名前ね…ロボロ、自分でできる？』

「これ使ったことないけど…おじさん、これは自分でやらないと意味がないの？」

「えぇそうですよ。どんなに下手くそでも、どんなに汚くても、貴方が自分で掘ることに意味があります」

そう言うと

ロボロは意を決したように

手に力を込めた

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