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突然
首筋に走った痛みに目が覚めた
『い"っ…！、ゾム！』
犯人は紛れもない
こいつだ
怒鳴っても牙を抜く気はないようだ
時々グルグルと唸っては強く噛み付く
痛いが、仕方ない
狼族の筋力に人間は適わない
これが弱肉強食、強い者の特権
『っ、どうしたの、変な夢でも見た？』
zm「……グゥ」
『グゥじゃ分からんって…いたたた、くい込んどるから！』
zm「…おいしい」
ゾムは満足したのか噛むのをやめ
滲んだ血を執拗に舐めとる
きっと、我慢できなかったんだろう
血だけで満足するなら
それでもいい
ただ、食べられたくはない
まだゾムと一緒にいたい
『落ち着いた？』
zm「…ごめん、俺…」
『分かっとるならええ、よく抑えられたね。いい子や』
zm「……そない優しいから、俺は調子乗ってまうんやで」
『分からへんな、実際私を食べずにおったんはお前やのに』
zm「…血ぃうまい」
『そうかいそうかい』
未だに私の上に覆いかぶさってはいるが
強ばった体を解いて体重を預けている
正直、とても重い
けれど隣ですすり泣く声が聞こえたら
そんなことも言っていられない
じわじわと温かさを持ちながら
濡れていく肩を誤魔化すように
止まらない血をゾムが舐めとっていく
密着した体に伝わるのは
かすかに震えるゾムの体
早く鳴る胸の鼓動
大事なものを抱きしめるように
私を腕にしまう、その強さ
『……怖かったんやね』
zm「………」
もしあのままゾムが正気を取り戻さずに
噛みついていたら
確実に私の肉は引きちぎられ
私は痛みで叫んでいただろう
もしかしたら、死んでいたかもしれない
『血くらいはいくらでもあげるよ、だからもうしないでね』
zm「…ん、…ごめ、」
『ええよ、謝らんとって』
そうか、私は覚悟が足らなかった
狼族だからといって
ゾムは私を食べたりしない
そう信じてきたけど
そういう訳じゃない
ゾムは本当に私を食べる気なんだ
いつだって狙っているんだ
いつかは、きっと食べられてしまう
死んでしまう
この覚悟がなかった
ゾムになら食べられたって構わない
それでも
本気で私を食べに来る時までは
このままでもいいよね
まだこうやって
温もりを感じていたいから
『ゾム』
zm「あ、ごめ…退くな」
『もし私を本気で食べたくなったら…その時は隠さずに言ってね』
zm「…え」
『絶対だよ』
その時が最期だ
.
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みち - めっちゃ面白かったです！絵描きさんの作品めっちゃ好きです！ (2020年8月16日 12時) (
レス) id: fb5d19b1ad (このIDを非表示/違反報告)
絵描きさん(プロフ) - カエデさん» 嬉しい、この一言につきる (2020年8月10日 1時) (レス) id: 215c832e11 (このIDを非表示/違反報告)
絵描きさん(プロフ) - 暁レイさん» えっ、むしろ読んでくれてありがとうなんですが…？？もう好き、更新頑張っちゃう(( (2020年8月10日 1時) (レス) id: 215c832e11 (このIDを非表示/違反報告)
カエデ - 面白い、この一言につきる (2020年8月8日 20時) (レス) id: 72430d3326 (このIDを非表示/違反報告)
暁レイ(プロフ) - あぁ…なんで評価は1回しか押せないの？…って事で更新待ってました！大好きです。これからも頑張ってください。ほんと、大好き、ありがとうございます作品作ってくれて。 (2020年8月7日 19時) (レス) id: 66062cdea4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絵描きさん
| 作成日時：2019年7月14日 20時
