25 ページ26
コネシマside
「誰かいるのか」
閉め忘れた研究室の扉を
誰かは知らないが研究員が入ってきた
焦って閉め忘れてしまったが
もう悔やんでも仕方ない
「……気のせいか」
咄嗟に爆弾をそのまま置いて
死角に逃げ込んだ
電気を付けないでいたのが
不幸中の幸いだったな
幸運にも爆弾の存在には
気づいてへんみたいだ
kn「…よし」
一度深呼吸をして気合を入れる
小さく発した声には誰も気づかない
中に入ってきた研究員は
誰もおらんことを確認して出ていった
面倒なことに、扉を閉めて…
つまりここから出るには
もう一度扉を開けて
誰にも見つからへんように
再びダクトに戻るしかない
大丈夫
ちゃんと確認していけば問題あらへん
扉は少し開けて周りを確認してから
開けることにして
空になった巾着の紐を結んで
邪魔にならないように背負う
廊下から音がしないのを
扉に耳を当てて確認し
周囲を見渡すために
少しだけ開ける
kn「…おし、誰もおらへんな」
そっと扉を開けて
外を確認すると
人の気配はなかった
思い切って大きく開くと
扉を開く音がこだまするように
静かな空間に
キィ、という音だけが広がる
それ以外にはなんの音もしない
おかしい
この時間は研究はしないが
個人で実験をする奴は絶対にいる
なんでなんの音もしないんや
「見つけた」
誰もいなかったはずの横から
先程の研究員の声がする
なにか声に出すよりも先に
勝手に体が動いた
咄嗟に出た足は
一直線にダクトの方へ向かっている
「お前、確か被検体04号だな？」
まずい
どうしよう、どうしよう
スっと伸びてくる大きな手
明らかに違う身長では
距離を縮められる一方だった
kn「…っ、」
息切れなんてせんかった
息すら吐けなかったから
心臓も止まったように動かない
ゾッとするほど体が冷めていく
それでも止まらずに走り続ける足は
普段よりも速いような気さえする
「くそっ、逃げられると思うなよ！」
少し後ろでそんな声が聞こえる
いちいち反応なんてしてられへん
あとちょっとや
もうすぐそこに、ダクトがある
「お前が逃げれば、残りの3人がどうなると思ってる」
kn「っ…え」
「お前が大人しくするなら、あの被検体らにも手は出さない」
あと少しなのに
目の前にあるのに
俺はその一歩を踏み出せなかった
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1763人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪見大福(プロフ) - 泣きながら読みました！これからも無理せず頑張ってください！ (2021年3月19日 23時) (
レス) id: 4031fb98ab (このIDを非表示/違反報告)
絵描きさん(プロフ) - トマトジュースさん» ありがとうございます！！やっとですね…(号泣)頑張って更新させていただきます！ (2019年10月2日 11時) (レス) id: 215c832e11 (このIDを非表示/違反報告)
トマトジュース - 救出おめでとう(号泣)トン氏がついに心を開くのか……？あとなシッマ…察しちゃダメだ……。察した私も悪いが。えー、これからもですね、はい、更新頑張ってください。無理せず更新おねがいします。 (2019年10月2日 6時) (レス) id: b4078055ec (このIDを非表示/違反報告)
絵描きさん(プロフ) - りつさん» ありがとうございます！！ (2019年8月7日 12時) (レス) id: e46d68e377 (このIDを非表示/違反報告)
りつ - めっちゃすきです！！続き楽しみにしてます！！！ (2019年8月6日 19時) (レス) id: a91baceb22 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：絵描きさん
| 作成日時：2019年4月7日 11時
