降谷さんにコキ扱われています【降谷零】 (ページ10)

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一連の徹夜騒動から数日

相変わらず降谷さんからの頼みは絶えない

毎日のように頼み事をしてくる降谷さんに

はいはいと二つ返事で承知する

ただ変わったことと言えば…

「田所、仕事は後どのくらいだ」

『えーっと…あと少しで終わります』

「そうか。終わったらでいいからこっちにも目を通しておいてくれ」

『はい』

前みたいに、次々と

好き勝手に押し付けてくる事がなくなった

必ず毎日帰るように言ってくるし

ご飯を食べずに仕事をするとチラチラと

様子を見てくる

この間の件で降谷さん的に

かなり堪えたらしい

気にしなくていいのに

『降谷さん、例の件で…』

「あぁ、移動しよう」

『風見さんとの話は大丈夫ですか？』

「急ぎじゃない。それよりお前、しっかり寝ているんだろうな」

『もちろんです、毎日家に帰ってますから』

「飯も十分にとれよ」

『睡眠も食事も、降谷さんには言われたくないですね。あなた最近少し痩せましたよ』

「筋肉量は変わっていないし、動ければ痩せようが問題ない」

『いつかぶっ倒れますよ』

私にあれこれ言う降谷さんだけど

自分にはそれ以上に厳しい

仕事に追われた時は寝ずに片付け

休息なんて取らなかった

人に言えるほど、この人は健康じゃない

料理は得意らしいしマシは食事は

取っているだろうけど

褐色肌のせいでクマが目立たないのは

この人にとって都合がいいのかもしれない

『…というわけで、また追々報告させていただきます』

「あぁ…それにしても、組織の奴らに不審な動き…か」

『確信はない以上、目立った行動は控えてくださいね。あなたは仮にも公安のスパイ…狙われる可能性はありますから』

「分かっているさ」

『…本当は私も潜入して、降谷さんを守れたらいいんですが…』

私が公安課に配属された時

一人の部下が亡くなったらしい

私が公安課に移されたのは

その人の分の埋め合わせだと

亡くなった部下は降谷さんと同じ

潜入捜査中に殺された

つまり、組織の潜入捜査で命を落とした

降谷さんの友人だったと言われている

その人の死は

きっと降谷さんにとって辛いものだった

だから降谷さんに同じような

道は辿って欲しくない

「部下に守られるのは悪くないが、君には同じ捜査に入って欲しくないな」

『私が死んだ部下の代わりだからですか？』

「それもあるかもな」

少し笑った降谷さんは

柔らかな表情とは裏腹に

目線だけは鋭く何かを見つめていた

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