降谷さんにコキ扱われています【降谷零】 (ページ4)

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『降谷さん、これ報告書と例の資料です』

「あぁ、ご苦労…って、田所か」

『はい、田所です』

どんなに降谷さんを避けようとしても

報告書は出さないといけない

逃げて出さなかった時どうなるか…

考えたくないくらいだと思うから

いつもと少し声色を変えて

あたかもただの部下ですと言うように

そっとデスクに書類を置いた

が、結局バレるのがオチなのだ

「ちょうど良かった、報告書に目を通すのに時間がかかりそうなんだ」

『あーでも私まだ仕事が…』

「なんか言ったか？」

『イエナニモ…どれです？』

上司だから、降谷さんだから

そんな理由で引き受けている訳ではない

ただ断れないのだ

押しが強いのがこの人の良い所でもあり

悪い所だと思う

きっと私を都合の良い部下だと思っている

んだろう

「いや、これは僕がやる。僕の仕事を誰かにやらせるのは性分じゃないからな」

『？じゃあ私は一体何を…』

「おい風見！」

私の質問はスルーし

少し離れた風見さんに声をかけた降谷さん

「はい？」

「この机は誰も使っていないんだよな？」

「え？えぇ…そのはずですが」

「分かった。だそうだ」

『そうなんですか！…で、それが何か』

「分かるだろ？」

『………はぁ…今日は降谷さん忙しいから何もないと思ってました』

「忙しい時に頼ってくれと言ったのは君だと思うんだが」

『…分かりました』

そして降谷さんのデスクに溜まった

報告書の束を掴んだ

降谷さんは自分の仕事は自分でやる

だから私がやるのはこっち

『誰にどの課題が渡されているのか私は知りませんから、こっちで別にまとめます』

「頼むよ」

降谷さんの隣の空いた机に

誰かの報告書を広げて目を通していく

あぁ、今日も退庁なしかな

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『…終わっだ～、！』

誰もいなくなった静かな空間に

私の声が響いた

結局降谷さんに回された報告書を

代わりに見て別にまとめ

それを降谷さんに渡した

この時点で20時を過ぎていたが

私個人の仕事をその後仕上げた

結果的に終わったのは2時

長時間労働で訴えるぞ本当

『…はぁ、帰ろ』

言っとくけど今3徹目だから！

垂れ下がった瞼に視界が奪われる

落ちる前に家に行かないとな

フラフラと外へ向かう

あー、電車終わっちゃってるかな

歩きって結構きついんだよな

『もう最悪…降谷さんの馬鹿ぁー』

深夜のテンションで独り言を呟いた時

誰かに腕を掴まれた

.