5話目 ページ6
『また...お会いしましたね』
彼女はそう言うと落ち葉を拾い、袋の中に入れた。また、不思議な感覚になった。彼女の事を考えるだけでこんなにも胸が苦しくなるなんて...
『この前、神社を案内してくれたお礼をしに来ました。ここじゃあれなんでついてきてください。2人だけで話せる所へ行きましょう。』
そう言うと彼女は僕に背を向け、こっちへ来てと言うような目をして歩き出した。僕は断る理由がなく、ただ黙って彼女について行った。
彼女は神社の近くの山へ入って行った。僕も置いてかれないようについて行き、歩く歩幅を重ねた。
しばらく歩くと綺麗な草原へでた。まるで誰かが手入れしてるような綺麗な草原だった。まさか...彼女が?
『申し遅れました。私、大宮Aと言います。あなたの事は存じております。天月さん。』
「...どうして!?僕の名前を知ってるの!?」
もしかして...前にも会ったことある?でも...会った記憶がないけど...Aさんか...
Aさんは草原の真ん中に立ち、僕の質問には答えず黙っていた。その水色の瞳はとても美しいが光がないような感じがした。
『天月さん...なにか...悩みがあるのではないでしょうか?』
「悩み...?」
『悩みとか...願いとか、普通の人には言えないような何かががあるのでしょう?』
確かに悩みも願いもある。でも...何故彼女がそんなこと知っているのだろう...誰にも話してないのに...
『あなたの目を見てれば分かります。悩みとかは言ってしまった方が楽ですよ。私でよければ話は聞きます。』
Aさんに相談?今まで親にも友達にも話したことの無い悩みを?ただ神社を案内した人に誰にも話したことの無い悩みを打ち明けるのには少しためらいがあった。
『私は...あなたの力になりたいんです。』
「Aさん...」
彼女のその真剣な目を見てしまったら真剣に僕の悩みを聞いてくれるのでは...?そう思い、僕はAさんに悩みを打ち明けた。
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作者名:松理 | 作成日時:2018年10月1日 17時