二重人格者の私ですが、それでも傍に居てくれますか【鬼滅の刃】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:483 hit

4話衝突ページ5

目の前にいた隊員の背中を無理やり押し込み地面へうつ伏せにさせ、振り向きざまに刀で鉈を薙ぎ払った。

地面に突き刺さると、隊員は青ざめながら小さく悲鳴をあげた。

振り返るとそこには想像通りの地獄が展開していた。

頭に包丁が突き刺さって血飛沫をあげる者、体が真っ二つにされている者、それを目の当たりにして恐怖で泣き叫ぶ者。

そして見えるだけで10を超える鬼の群れ、かつて人間であっただろう肉の塊。

何処から湧いて出てきているのか謎だったがこれで解決した、村から鬼が生まれていたなら大量の鬼がいるという報告にも納得だ。

法則性のない力任せの攻撃を見るに、知性が低い鬼ばかりなのだろう。

突進してくる鬼の腕を掴みそのまま背負い投げて別の鬼にぶつける。

合間に他の隊員の様子を伺っていると、肩をガシッと掴まれる。

(ヒェッ！？なな、なにごと！！？)

視線を向けると、運良く生き残っていた自称指揮官の男が恐怖と屈辱と怒りを混ぜた何とも言えない顔でこちらを見ている。

｢な、な、何してやがるテメェ！乙なんだったらさっさとこの鬼共をぶっ殺せよ！！！｣

言ってることがめちゃくちゃで意味が分からないのは元からだったが、まず肩から手を離してもらわない事には何も出来ない。

『あっ…あのぉ……そうしたいのは山々何ですが…』

手を離してくれませんかね…と視線を送るも、焦っているせいか一向に握りしめた手を緩める気配がない。

そしてそれを見ていた鬼が隙を見て私に刀を振りかぶった。

咄嗟に体を反らすも、腕に掠めてしまいズキっと腕が痛みだす。

仕方なく男を庇う形で防戦一方の状態に、これは本格的にまずいと本能が告げる。

(この人を盾にして意表をついたら、トドメを刺せそう…)

冷酷な案が浮かんで、ハッと我に返る。

(や…流石に駄目か……落ち着け、私…)

焦っている所にタイミング良くその人は現れた。

流れる水流の如く、華麗な刀捌きに見とれてしまうのは私だけでは無い筈…。

(うわ…………綺麗…)

呑気に眺めていると、男が離れたので視線を移すと冨岡さんが男を引き剥がしてくれたみたいだ。

少し、いや割と怒りを顕にしながら男に向けて当然の疑問を投げかけた。

｢お前は此処に何をしに来た、戦うつもりが無いなら今すぐこの場から立ち去れ！！他人に迷惑をかけるな！！｣

危ない所を助けて貰い、自分の事に対して怒ってくれた。

それだけで今の私には充分すぎる要素だったのだ…。

(かなり…好きになっちゃった…かも知れない…っ)