どうせ君もそうだから。（桃）

そういうこと ページ10

手を引かれるまま連れてこられたのは


会社からすぐのホテル。




ホテルのエントランスで

早々と気付いた。






そうか…


そういうことか。




だよね

そうだよね。






結局…男はそうだ。




�霤弔気鵑紡里魑�す軽い女なら


俺に抱かれるぐらい平気だろ？


ってそんなとこでしょ？




はいはい。



その一回で口止めできるなら安いもんだ。




小瀧くんは


顔も良くてスタイルもいい。





性格なんて

体を重ねてるあいだなんてどうでもいい。



とりあえず今、私を欲してくれてるなら

別に嫌な気はしない。




生理的にダメな男でもない限り

別に平気。



お前みたいな女、嫌い


なんて言いながら

結局欲望には抗えないとか…



だから男は信用できない。







上の階を目指し動くエレベーターの中で




なんだかバカバカしくなって

つい吹き出して笑ってしまった。




『…なに？』



隣に立つ小瀧くんが私の方も見ず呟いた。




『いや、別に…ゴホッ…』



慌てて咳払いをしてごまかす。




こんな態度しときながら

私のこと抱くつもりなんだ、この人。



本当にバカみたい。


早く終わらないかな。


早く帰りたいな。



小瀧くんみたいに私のこと下に見る様な人よりも


�霤弔気鵑澆燭い�



かわいいよ

気持ちいいよ

会いたかったよ



って嘘でも包んでくれるような人の方がいい。




ふわっとした感覚で

部屋のある階に着いたのがわかる。



チラッと階の表示を見ると『１２Ｆ』



先に降りる小瀧くんの後を追って

私もエレベーターを降りた。



突き当たりを左に折れると

黒いドアがいくつも並んでいた。



カーペットの上を歩くたびに

2人のこもった足音が響く。




小瀧くんがチラッと手に持ったキーを見て

部屋の番号を確認する。



『1219』



ピッと音がなって

その部屋のドアが開いた。




小瀧くんの背中越しに

ぼんやりとオレンジの明かりが見える。




小瀧くんは部屋に入ると

鍵をテーブルの上に放り投げた。



『っはぁ…疲れた…』




スーツの上着を椅子に乱暴にかけて



眉間にしわを寄せながら

ネクタイをぐいっと緩め



すこしダルそうにベッドに腰掛けた小瀧くん。




部屋の中を照らしているのは

間接照明だけで


さっきまでの小瀧くんよりも色っぽく見せた。





『…何でそんなとこで突っ立ってんの？』





部屋の入り口に立つ私を見て


小瀧くんがため息をついた。

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