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あの頃の話 ページ13

あの頃

私は付き合って1年半ぐらいの彼氏がいた。



もちろん仲は良くて

彼は私のことを大切にしてくれていた。



週末には彼氏の家にお泊まりに行って



夜は2人でソファに並んで座って

借りてきたDVDを見たり


肌恋しくなればお互いを求めあった。



彼から聞く仕事の愚痴だって苦ではなかったし

むしろ

私にだけ見せてくれる弱い部分が嬉しかった。



私は彼に会える、

ささやかだけど幸せな休日のために

仕事に打ち込んでいた。




週末には彼に会える

あの温もりに包まれる。




辛くて面倒な仕事をこなすために

言い聞かせて奮い立たせていた。






でもあの日。


忘れもしない

鼻先が凍るような冷たい風吹いていたあの日。




彼の部屋で言われたこと。




『ごめん。好きな人ができた。』





…言われた瞬間

彼が何を言っているのかわからなかった。




意味が理解できなくて固まる私の前に

正座してうつむきながら話す彼をじっと見ていた。




『別れてほしい』




彼は私の言葉なんて待っていないようで

自分の言いたいことをスラスラと述べた。




…好きな人?

…え?私が…彼女なんじゃないの?


なのに…他に好きな人?





『…誰?…その…好きな人って。』





別れたくない。

私はあなたといたい。



そう言えたのかもしれない。



でも頭の隅には

なんとなく浮かぶ影があった。




まさか…いや…まさかね。




その『まさか』を消したくて


誰なのかが知りたかった。








『…




ちひろ。』





気まずそうな彼の口から出た名前。





それを聞いて



あぁ、やっぱりな。



なんだ…やっぱりそうなんじゃん。




『まさか』が『本当』になって



心がバラバラと割れていく感じがした。






あの子か。


ふーん。



あの子か。






彼が私と付き合う前から仲の良い女友達。



彼が私と付き合ってからも遊んでいた女の人。





『あいつのことは女と思ってない』って

何度も言っていた。




『だって友達だよ?2人でいても意識してない』って

何度も言っていた。




『だから心配すんなよ。』って

笑って言っていた。




だから私は彼を信じた。



だって彼女だから。


彼女なんだから信じなきゃ。



全然平気ですよーって顔してた。

だって彼女だから。


私のこと大切にしてくれてたから。





でも

本当に


大切にされてた?


バカみたい。



…大切になんて


全然されてなかった。

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まー(プロフ) - お帰りなさい~!!続き待ってましたよー♪読めて嬉しいです(T_T)寒い毎日なので、体調崩さないように気を付けて、また書ける時間が出来たら続きをお願いします(^_^) (2017年10月16日 19時) (レス) id: 43cbd8772d (このIDを非表示/違反報告)
うえうえす子(プロフ) - 小柚さん» 更新するって言ってたのに遅くてすいません(>_<)また是非お願いします! (2017年10月16日 17時) (レス) id: 83d9077ee4 (このIDを非表示/違反報告)
小柚(プロフ) - うえうえす子さん更新再開嬉しいです!!!!!マイペースに頑張ってください! (2017年7月24日 21時) (レス) id: 8edbdd9245 (このIDを非表示/違反報告)
うえうえす子(プロフ) - まーさん» まーさん!ご無沙汰しています!覚えててくださって嬉しいです!なるべく頑張ります!待っててくださってとても嬉しかったです! (2017年7月21日 20時) (レス) id: 83d9077ee4 (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - こんにちは!!お久しぶりです!!待ってましたよ~!!続き読めて嬉しいです!!毎日暑いので体調崩さないように気を付けてくださいね(^^)お忙しいとは思いますがたまにこちらにお話の続きを載せていただけたらと思います(^^) (2017年7月21日 20時) (レス) id: 43cbd8772d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:うえうえすこ | 作成日時:2017年5月15日 17時

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