どうせ君もそうだから。（桃）

固結び ページ12

『そ、そんなこと…

その人に聞けばいいのに。』




うつむく小瀧くんに小声で言った。






『私は二股をかけてるわけじゃない。



ただ…ただ


自分が寂しいときに温もりが欲しいだけ。



特定のお付き合いする人なんていらない。





絶対裏切るんだから…



その事を聞くなら�霤弔気鵑吠垢韻个いぁ�』






顔をパッとあげた小瀧くんの瞳は揺らいでいた。





『…聞けへんやん、そんなこと。


どうでもええあんただから聞けんねん。』



まぁ…そりゃそうか。

ごもっともな言葉に私も黙ってしまう。





『あのさぁ…

あんたは？』



唐突な質問につい首をかしげる。



『あんたは？って…？

なにが？』




小瀧くんをじっと見る。






『さっきから聞いてると


何回も裏切るとか…嘘つくとか…



なんかあったんやろ？


なんかあったから


あんた…

そうなっちゃったんやろ？』






…悔しい。


すごいムカつく。




ムカつくけど


本当に本当に図星だった。



あのことは


誰にも言っていない。




人からしたら大したことじゃないから。



そんなことで？

よくあるよ？

気にしない方がいいよ？




そう言われるのが目に見えて



誰にも言わなかった。




でも…でも


私にとって


その出来事は



男の人を信じる気持ちを


粉々に打ち砕いてしまった。




もうこんな気持ちになりたくない。



もう信用なんてしたくない。




でも…



人肌恋しい。



誰かには触れられたい。



誰かには求められたい。




そうか…


こんな簡単な関係あるじゃない。



そうだそうだ。




そう思って



こんな関係を続けて来た。





お前だけがいい


っていう嘘を聞かなくて済む関係。




それを今まで黙ってきたのに。



誰にも気付かれなかったのに。





なんであんたが気付くの…？



なんであんたに話さなきゃいけないの…？







そう思ったのに…





小瀧くんに気付かれたことに


いや、気付いてくれたことに




心の一番臆病なトコロが反応してしまって




ギュッと固結びしていた心が


ほころびだしてしまう。





『あ、あの…』





私は誰にも話さないつもりの過去の恋愛を


小瀧くんに話し始めた。



絶対バカにするだろうとおもっていた彼が


しっかりとこちらに体を向けて


頷いて聞いてくれたことが



思いの外嬉しかったみたいで



ポロポロと溢れるように


話し続けてしまった。

あの頃の話→←理由

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す