どうせ君もそうだから。（桃）

理由 ページ11

『いや…別に』



じっと私を見る小瀧くん目につい固まる。




『そこ座れば？』




アゴで部屋の椅子の方を示す小瀧くん。




『うん…』




ベッドに座る小瀧くんの前を通り過ぎ


部屋に2脚だけの椅子の１つに


ゆっくり腰を下ろした。





何を話したらいいのかわからなくて


沈黙が部屋を包む。





『あのさぁ…』





小瀧くんが口を開いた。







『なんであんたが緊張しとんのかわからへんけど…




別に何もせえへんで？』





少しだけ馬鹿にしたように微笑む小瀧くん。




その言葉に急に恥ずかしくなって


顔に熱が一気に集まる。




でも


勝手にこんなところに連れて来といて…





『こんなとこに連れて来といて

何でそんなこと言われなきゃいけないの？

って言いたそうな顔やな。』






頭に浮かんだ事を

先に言葉にされてつい目が見開いてしまう。




『図星やな』




ふふっと吹き出す小瀧くん。





『本当の恋愛も分かってへんあんたなんか

誰が抱くか。


何も面白ないやろ、そんなん。』






何にも知らないで

馬鹿にするような言葉を次から次へと投げつける

小瀧くんに苛立ちが募る。







『…はぁ？


本当の恋愛？

そんなの無いから。


そんなもん無いから。



別に何も無いなら無いでこっちは楽だし。




じゃあ…



なんでここに連れて来たの？



期待みたいなのさせて


ガッカリさせる為…とか言わないよね？





そもそも期待もしてないし


抱かれたくもないけど。』





怒りが言葉に変わっていく。




ヘラヘラ馬鹿にしたように笑ってた

小瀧くんの顔から笑顔がスッと消えた。





『誰にでも抱かれるような女嫌いやねん。』





大きな声でも無いのに

ビリビリと伝わる嫌悪感。






『じゃあ…


関わらなきゃいいんじゃない？


小瀧くんには何にも関係ないんだし。



私は別に小瀧くんに抱かれたいわけじゃない。』







小瀧くんに嫌悪感をより与えるように言葉を選んだ。




小瀧くんは腕を組んで大きなため息をついた。






『ほんま最悪な女やな。



でも…


だからあんたに聞いてみたいことあってん。』




聞いてみたいこと…？


小瀧くんの言葉をじっと待つ。





『前付き合ってた人が…


俺だけやなくて…他にも付き合ってる人がおって



どんな気持ちでそんなことしとったんか…



どうしても知りたいねん。』




急に苦しそうな表情になる小瀧くんに


つい戸惑ってしまった。

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