音駒のマネは地獄耳！？(4)

152話 ページ9

『あ"ぁ"…見てるのが辛い…もう全部私が拾ってあげたい…』


猫又「大丈夫か？」


2セット目終盤

タイムアウト後はデュースで始まり

両者1歩も譲らない粘り勝負


コートの緊迫感やらなんやらが痛い程聞こえる

その中でもハッキリと聞こえるのは

研磨の音だ


疲れた、休みたい

そんな音と元に苛立ちまで聞こえてくる


集中力だけは並外れてる研磨の集中が切れてきてる

これは本格的にやばくなってきてる



『あぁ…無理…しんどい』


猫又「お前も集中しなさい」


『…はい』


毎度毎度のラリーが長い

それはちゃんとまだ動けている証拠

でも、ジリジリと体力を削られ続けているとも言える


疲労は蓄積し動きも段々と遅くなる…

でも、私達は音駒だから


例えボールが何処に落ちてこようとも

例え疲れて今にでも倒れてしまいと思おうとも


プレイの質だけは


絶対に落とさない



2セット目のデュースは30点を超えても続く

だが30対31で音駒がブレイク



ここでキメなきゃこのセット持ってかれるかもな



山本「すまんっ！フォロー！！」


レシーブは研磨の少し手前に上げられる



身体的にも精神的にももうクタクタな研磨

あと一歩が億劫な研磨

あの研磨が…



『えっ…』


猫又「おおっ…」



極小モーションからのセットアップ


あの…面倒くさがりな研磨が


今まさにそれをやってみせたのだ


『福永っ…！』


(((バンッ！！！)))


スパイクはブロックを抜け

相手コートへと落ちる



そして

ホイッスルの音と共に第2セットが終了

私達は第3試合へと切符を手にした


コートでは研磨が床に倒れており

その周りをみんなが笑いながら囲っている



『……』


猫又「A、行かないのか？」


『私は、私はここで…』


猫又「…そうか」



そう、私はここでいい


だってあそこは…


彼らの場所だから



夜久「A〜！こっち来いよ！」





でも、





山本「研磨ぶっ倒れちまったんだよ何とかしてくれ〜！」






もし、許されるなら






猫又「ほれ、お呼びだぞ」





私を





黒尾「早く来なさいな、お嬢サン」






『まったく…しょうがないんだから』






またそこに……

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