音駒のマネは地獄耳！？(4)

157話 ページ14

そうは言ったけど…



医者「うーん…許可はでき兼ねるねぇ」


『ｳﾞｯ……』



まぁだよねぇ……



クロが帰った少し後に

かかりつけの先生が部屋に入ってきた

多分クロが受付の人に言ったのだろう




医者「君は、自分が全身に今どんな状態なのか自覚しているのかい？」



先生…圧が圧がすごいよ…ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞって感じのやつだよ

いや、確かに無理なことを言ってるのはわかるし

心配してくれてるのもわかるけどさ



医者「例え無事だったとしても、ただでは済まないかもしれない下手をすれば君は…」




『耳が使い物にならなくなる…ですか？それとも』




『死んでしまう……ですか…？』




医者「っ……」




わかってる…


わかってるよそんなこと……





『先生…私それでも行きたいの』





ずっとなんて…




望めない事なんて…





『いずれ聞こえなくなるなら…私は』






自分の体なんだ







そんなの1番よくわかってる








『私は最後に…病室の音じゃなくてね』









会場の歓喜を









選手の雄叫びを









ボールと手の接触音を










…みんなの音を…
















『大好きな音を聞いてたいの…』






最後くらい





好きにさせてよ








医者「っ！…君の未来はまだ決まってない！！」





『先生……』





医者「君の耳を治すことが出来る方法はもう見つかっているのに！！」






『先生…』






医者「それなのにどうして君はっ！！」






『先生っ…！！』





医者「…済まない、少し取り乱したでもこれだけは答えてくれ、どうして君は…」




「「その耳を直そうとしてくれないんだ」」




『…』





2年前、病院の定期検診に行った時に言われたんだっけ…


この耳が治るかもしれないって…





でもね先生





ダメなの






『"これ"を手放す訳にはいかないの…』






だって"これ"がなかったら私は






『何の役にも立てないもの…』






みんなと同じ場所に立てる権利が




無くなってしまうもの

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