音駒のマネは地獄耳！？(4)

163話 ページ20

黒尾side


おかしい…非常におかしい

試合が終わったのにAがいつまでたっても降りてこない


黒尾「Aの奴遅くねぇか？」

研磨「今浅霧さんが呼びに行ってるよ」

黒尾「そうか…」


いつもなら試合が終わった瞬間俺らのところに飛んできて

あの可愛い笑顔で…


「「お疲れ様！」」


って言ってくれるんだけどなぁ…



なにか物足りなさを感じながらも

しばらくしたら浅霧が連れて来るだろうと思い待っていた



そう、待っていたのに……



お前は…



浅霧「たｯ！！大変です！！！」

黒尾「浅霧！？どうした！」

浅霧「Aさんがｯ！！どこにもいないんです！！」





黒尾「…は？」





信じられなかった…きっと何かの間違いだと

そう信じたかったんだ…

でも、音駒の全員で会場の中を探してもAはどこにもいなかった…

烏野のヤツらの所にでも行ってるのかと思って行っても

誰も見ていないという始末



黒尾「どこ行ったんだよ…！！」



会場中を走り回って

応援をしに来た人や、選手にも聞いたが…

Aを見たという人は誰もいなかった


すると…


ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ、ﾋﾟﾋﾟﾋﾟﾋﾟ


持っていた携帯に1本の着信が入る

相手は…


黒尾「夜久…どうした」

夜久「黒尾！A見たって人見つけだぞ！！！」

黒尾「っ…！！！」


その一言で諦めかけていた俺の心に一筋光が指した


夜久「なんかタクシーに乗って出てったらしい！！」

黒尾「それで！Aは今どこに！！」

夜久「悪い…そこまでは分からない…」

黒尾「そうか…ありがとうな夜久」

夜久「とりあえずお前1回こっち戻ってこい」

黒尾「あぁ…わかった」



結局その日はAを見つける事が出来なかった

Aのお母さんに連絡しても、何も知らない様子だった

Aが何の目的でタクシーに乗ったのか

どうして誰にも言わずに行ってしまったのか

どうして……俺の前から消えたのか…



黒尾「どこにいんだよ…A」



手に持っていた携帯の画面を見ると

合宿の時に屋上で撮ったAの姿が映ってる


あの時から待ち受けコレだったな…


風になびく髪が、愛らしい瞳が

眩しい朝日に照らされてオレンジ色に輝いている



いつも俺の横にいるAが

今は何処にも見当たらない、それがただただ寂しい

そして……怖い…

なんの前触れもなく俺の中からAが無くなっていくようで




「出てきてくれよ…」




「頼むから…」

164話→←162話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す