129話 ページ35
「「「おねがいしゃーっす！！」」」
体育館に響く声
なんとも言えないこの緊張感
あぁ…いいな……
猫又「Aどうした？」
『あ、すみませんボーっとしてました』
猫又「そうか？」
『それより今日の木兎さんちょっとやばいかもです…』
猫又「と、言うと？」
『今日の木兎さんは、いつもよりノってる感じで…』
猫又「…なるほどなぁ」
ピーーーー！！！！！
ホイッスルの音が鳴り
相手サーブで試合が始まった
最初の1点はこっちに入り
スタートは順調
『コート内の雰囲気も悪くない…悪くないけど』
やはり気になるのは
試合前から異様な音を静かに響かせる木兎さん
なんなんだこの感じ…
次の瞬間赤葦が木兎さんにトスを上げ
木兎さんはそのトスを見事に打ち切り
ボールを2階席にはね飛ばした
木兎「へいへいへーい！！！」
今の1球で会場が木兎さんに引き込まれる
流石と言うべきかね…
次のラリーでは
夜久くんが木兎さんのスパイクのコースに回り込み
見事にレシーブを上げて見せる
さすが夜久くんかっこいいね
でも、木兎さんの音が弱まることはなく
逆にどんどん大きくなる
緊張、興奮、
なんとも言えない高揚感
全てが彼の中で響きぶつかり合っている
ほんっとに…
『怖い人だな…』
次もその次のラリーも
木兎さんのスパイクで点が持っていかれる
木兎さんは絶好調、でも夜久くんも今日は調子がいい
実際夜久くんは何度か木兎さんのボールを拾っている
この前合宿で木兎さんはクロスが得意だと聞いた
だが、クロスを閉めているからか、はたまた夜久くんを
意識しているのか
今日はストレートを多く打ってくる
木兎さんがストレートを打つ時
心做しか、いつもと違うように聞こえる
調子がいい時に聞こえる音
今日の木兎さんは珍しくストレートの調子がいいらしい
ここまで分かれば後は研磨の仕事
『お願いします』
ピーーーー！！！！！
私は監督にアイコンタクトをし
タイムアウトを入れてもらった
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作者名：名無しの弁慶 | 作成日時：2021年9月27日 17時
