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九月初旬
その日は特に忙しい日で
どうやら近くの森で厄介な魔が出現したらしく
医務室には大量の怪我人が運ばれた
『渡辺さんこの人頼みます』
渡辺「はい！」
『飯塚さん部品と薬品の補給お願いします』
飯塚「任せろ！」
佐々木「月尾田さんすみませんが今から緊急で現場に向かってください」
『えっ…でもここも手いっぱいなのに』
佐々木「どうやら運びきれない程の怪我人が現場にまだ沢山いるようです、動かす事が困難な方もいらっしゃいます」
『了解しました、では後はよろしくお願いします』
こんな甚大な被害始めてだ…
確か今回は三人も現場に派遣されていたはず
お願い…無事でいて……
現場に到着した時
私はその有様に絶句した
床一面には大量の怪我人
大半が意識不明の重体で
体の一部が欠損しているような人もいる
掠れた声で助けを呼ぶ人
声すら出せない人
今まで何人もの怪我人を見てきたが
今回はそもそものレベルが違い過ぎる
気後れしている場合じゃない
一秒でも早く助けなくては
かと言って一人ずつ見ていては埒が明かない
櫻月風での術でも治療は出来るけど規模が大きすぎる…
だったら………
神の力を行使して一気に終わらせるｯ！！
私は怪我人が寝かせられている場所の中心まで行き
床に手のひらを付ける
『我が神天ヶ瀬 清乃神よ…かの人々の傷を癒し安らぎを与えよ』
『癒・治・安・拡張術式・清聖術』
呪文を叫ぶと床に付けた手から
床に大きな術式が展開され術式内が神々しく光る
そして次の瞬間には床に寝ていた人達の傷は徐々に治っていた
『はぁ…はぁ………ｺﾞﾌｯ……ゴホッゴホッ…』
ひとまずは良いとして
少し無理をし過ぎたようだ
やっぱり過度な神術の行使は身体に良くない…
でも…まだ終わってない……
前線にはまだ魔がいるし
戦っている人もいるはず
幸い佐々木さんが増援を寄越してくれたようだ
私は加勢に行かなくでは
口の端に垂れた血を拭い
私は後から来た医療班の人に引き継ぎをお願いし
森の中へと足を踏み入れた
死なせない…絶対に……
私が…必ず助けてみせるから
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作者名：名無しの弁慶 | 作成日時：2022年5月17日 14時
